緊急避妊薬の市販化が了承、処方箋なしで購入可能に
以下は、記事の抜粋です。
これまで医師の処方箋が必要だった緊急避妊薬を、処方箋なしで薬局やドラッグストアで購入可能とする方針を厚生労働省が了承しました。長らく議論が重ねられてきた緊急避妊薬の市販化にようやく決着がつきそうです。
厚生労働省の専門部会は8月29日、緊急避妊薬(アフターピル)の市販薬としての販売を了承した。医師の処方箋なしで夜間や休日も入手しやすくなり、避妊の失敗や性暴力などによる意図しない妊娠から女性の心身を守りやすくなる。悪用や乱用を懸念する慎重意見があり、検討開始から8年を要した。(2025年8月30日付 日本経済新聞社)
2023年11月から調査研究として16歳以上の女性を対象に、一部の薬局で試験販売が始まっていました。その結果、安全性が確立したことを受け、年齢制限を設けずに一般販売可能となります。
今回、緊急避妊薬「ノルレボ錠(一般名:レボノルゲストレル)」1品目についてスイッチOTC化が了承され、「要指導医薬品」として薬局での販売が可能になります。要指導医薬品で販売可能と言っても、いくつか注意点がありますので確認していきましょう。
まず、2つの承認条件がついています。
1.
承認後、少なくとも3年間の安全性などに関する製造販売後調査を実施すること。
2.
適正使用を確保するため、必要な条件を満たした薬局または店舗販売業の店舗において、緊急避妊薬の取り扱いに係る研修を修了した薬剤師によってのみ販売または授与されるよう、特別な措置を講じること。
1については、販売する製薬会社に課されている調査です。薬剤師には、服用した患者さんに副作用などが疑われる場合は、速やかにメーカーや厚生労働省に報告する責務が生じます。3年間の調査結果により、また新たに安全対策が講じられる可能性があるので、そこにも注意が必要です。
2については、9月19日からオンライン研修が実施されるとのことです。薬剤師がその研修を修了して厚生労働省に申告することで、研修が修了した薬局名や開局時間、研修を修了した薬剤師の情報などを同省のホームページに掲載する予定としています。
また、販売する薬局などの設備や体制について、以下の要件が求められています。
1.
研修修了薬剤師が販売する。
2.
プライバシーに十分な配慮ができる体制を整備している。
3.
近隣の産婦人科医などとの連携体制を構築している。悪用の懸念があることを受け、用法・用量は「性交後72時間以内に本剤1錠を薬剤師から受け取り、その場で服用する」となりました。そのため、配慮ができる設備が必要になります。
一般的にスイッチOTC化された要指導医薬品はオンライン服薬指導での販売ができますが、ノルレボ錠はその対象にはなりませんので注意が必要です。親の同意に関わらず予期せぬ妊娠を希望しない若者を支援するため、親の同意も不要となりました。薬剤師の面前服用を含む販売方法のあり方については厚生労働省において検討し、一定期間を経た後に見直しを行う予定とされています。
本ブログでは以下のように、緊急避妊薬「ノルレボ錠(一般名:レボノルゲストレル)」について15年前から紹介し、処方箋なしで薬局やドラッグストアで購入可能とすることの必要性を説明してきました。記事でも書かれているように、ようやくという感じですが、良かったとおもいます。
ちなみに、2010年の記事に「このままのペースで行くと、ulipristal acetateの承認も、レボノルゲストレル(levonorgestrel)を成分とする緊急避妊薬が日本でOTC販売されるのも、10年以上先になりそうです。」と書きましたが、あたりました。
関連記事
緊急避妊薬の市販化…ここでも遅れる日本の医療(2024.02.26)
日本産婦人科医会「計91%が緊急避妊薬の薬局販売に反対」→実際は42%だった。(2021.10.09)
緊急避妊薬(アフターピル)、薬局で処方箋無しで購入可能に。来年にも、望まない妊娠防ぐ(2020.10.12)
全ての避妊薬を市販薬(OTC)として、処方箋なしで販売すべき…米国産科婦人科学会(2019.10.31)
アフターピル(妊娠を回避するために性交後に服用するピル)のオンライン処方は継続中!!(2018.12.25)
アフターピル(緊急避妊薬)のオンライン処方を医師が開始(2018.09.20)
緊急避妊薬のOTC化、賛成大多数のパブリックコメントを受けても、やはり「不可」(2017.11.22)
スイッチOTC薬、緊急避妊薬は「時期尚早」?(2017.08.03)
緊急避妊薬ノルレボ錠、5月から販売(2011.04.18)
性行為後の緊急避妊薬、ノルレボ、承認の意見…厚労省部会―大きなドラッグラグに触れない記事(2010.12.01)



コメント