スイッチOTC薬、緊急避妊薬は「時期尚早」
以下は、記事の抜粋です。
2017年7月26日、厚生労働省の「医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」の第2回が開催された。スイッチOTC薬の候補として要望が寄せられた緊急避妊薬レボノルゲストレルは時期尚早とした。
レボノルゲストレル(商品名ノルレボ)は、性交後72時間以内に用いる緊急避妊薬。欧米などではOTC薬として広く販売されているが、日本産科婦人科学会と日本産婦人科医会から「OTC薬とすべきではない」との見解が示された。
委員らは、欧米と比べ日本では経口避妊薬に対する知識や性教育が不足していると指摘。例えば、同薬の妊娠阻止率は約80%で、排卵周期によりこの確率はさらに低下する。しかし日本では「緊急避妊薬=100%避妊できる」と誤解され、妊娠の発見が遅れる可能性があるとした。
学会からは「仮にOTC薬とする場合は、生殖内分泌や性教育に関して十分な研修を受けて対応可能と認められた薬剤師のみが対応できる枠組みが必要」との見解も示されていたが、複数の委員から「薬剤師ですら十分な性教育を受けておらず、消費者にきちんと説明できるか不明」と不安視する声が上がった。
また現在、日本産科婦人科学会は「緊急避妊法の適正使用に関する指針」で、緊急避妊薬の処方時は「同意書」を取得するよう求めているが、OTC薬として販売されると同意書の取得が困難になるとの指摘もあった。
ほかにも多数の懸念が指摘されたのを受け、会議では、レボノルゲストレルをスイッチOTC薬とするのは「時期尚早」と判断。パブリックコメントは募集するものの、候補成分からは除くと結論付けた。
産婦人科学会の考え方は、学会が発表した緊急避妊法の適正使用に関する指針をみればわかると思います。
一方、togetterには、緊急避妊薬の市販薬化見送りについてというこの決定に対する厳しいコメントが投稿されています。以下にそのコメントの一部を紹介します。
世界のほとんどの国で市販化され、フランスでの発売開始以来十数年間にノルレボ・ノルレボと同タイプの緊急避妊薬は世界で延べ2.3億人が服用し、日本で40万人が服用しているが、重篤な副作用は報告されていません。
無防備な性交渉があれば月経周期のいつのことであれ緊急避妊薬を服用すべきだというのが世界中の考えです。日本産婦人科学会のガイドラインは安全日であるかどうか確認することになっています。安全日神話を採用する産婦人科学会は学術団体なのでしょうか。
米国産婦人科学会をはじめ諸外国の産婦人科学会は、こぞって緊急避妊薬の市販化を主導してきました。アメリカには緊急避妊薬が意図しない妊娠を半減させたとの報告もあります。有用性を最も知っているのは産婦人科医です。
世界の産婦人科医と真逆の見解を日本産婦人科学会は示しました。日本産婦人科学会は新たな黒歴史を刻んだことになります。
そもそも緊急避妊薬を服用しないケースでも、妊娠発見の遅延事例は存在します。緊急避妊薬の服用は妊娠遅延事例を減少させることはあっても増加させることはあり得ないでしょう。「妊娠発見の遅延につながる可能性が高い」など何のエビデンスもない妄言です。
産婦人科学会は学術団体です。「安易な使用から常習になることも危惧」などエビデンスのない言説を弄して恥ずかしくないのでしょうか。《HPVワクチンの接種でSTDへの警戒心が薄れることが危惧される》などというのと同じです。
これまでは医師の処方でしか使用できなかった医薬品を、薬局で買えるようにしたのがスイッチOTC薬です。OTCとは”Over The Counter”の略で、街の薬局のカウンター越しに売られる薬、つまり市販薬のことを指します。医療薬から市販薬にスイッチされたということから「スイッチOTC」といいます。
緊急避妊薬が、性交後に望まない妊娠を避けるために飲む薬であることを考えると、現状のように医師の処方箋がないと買えない状況よりも、薬局で市販薬として買える方が良いと思います。ということで世界のほとんどで市販化されているのでしょう。
世界の多くの国よりも「日本では経口避妊薬に対する知識や性教育が不足している」のであれば、その責任の一部は日本産科婦人科学会にもあると思うのですが、、、
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