批判記事なので、そのまま引用します。
カレーの香辛料ターメリックとしても知られる「ウコン」の成分を利用し、がんの進行を大きく抑えることにマウスの実験で成功したとする研究結果を、京都大のチームがまとめた。
抗がん作用は以前から知られていたが、効果を強める方法を開発したという。新たながん治療薬の開発が期待される成果で、神戸市で開かれる日本臨床腫瘍学会で7月27日発表する。
この成分は「クルクミン」と呼ばれ、大腸がんや膵臓すいぞうがんの患者に服用してもらう臨床試験が国内外で行われている。ただ、有効成分の大半が排せつされるため血液中の濃度が高まらず、効果があまり出ないという課題があった。
チームの掛谷秀昭教授(天然物化学)らは、排せつされにくく、体内で有効成分に変わるクルクミンの化合物を合成。有効成分の血中濃度を従来の約1000倍に高めることに成功した。人の大腸がんを移植したマウス8匹に注射したところ、3週間後の腫瘍の大きさが、治療しない同数のマウスの半分以下に抑えられた。目立った副作用も確認されなかった。
掛谷教授は「安全性が高く、既存の抗がん剤と遜色ない効果も期待できる」とし、京大発のベンチャー企業と組んで抗がん剤としての開発を目指す方針。
柴田浩行・秋田大教授(臨床腫瘍学)の話「これまで難しかった血中濃度を高め、効果を示したのは画期的な成果だ。今後は、注射で投与する方法の安全性を検証する必要がある」
読売あるいはこの記者、さらには記事で言及された研究者らとハウスとの「不適切な関係」を疑わせるひどい記事です。理由を以下に書きます。
1.この研究は、査読(審査)がない学会発表段階のものであり、科学的信憑性に乏しい。
2.実験は少数のマウスを使った動物実験であり、臨床試験ではない。動物実験での仮説が臨床試験で否定されることは非常に多い。
3.この物質を作成したのは、クルクミンの(消化管からの)吸収を改善するため、ということだが、それならどうして経口投与でなくて、「注射」して効果を調べたのだろう。
4.この記事の「『ウコン』の力」というタイトルは、「ウコンの力」というハウスの製品を連想させる。しかし、「ウコンの力」に入っているクルクミンは高吸収性のものではなく、「薬効」は期待できない。
研究のレベルが低いのではなく、単に記者が誤解して書いた記事であることを願います。
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