国立感染症研究所がこれまで診た新型コロナウイルス感染症の患者112例のデータ

感染症発生動向調査及び積極的疫学調査により報告された新型コロナウイルス感染症確定症例112例の記述疫学(2020年2月24日現在)
2月29日、国立感染症研究所がこれまで診た新型コロナウイルス感染症の患者112例のデータが公表されました。以下は、その抜粋です。


性別は男性69例、女性43例で、男女比は1.6:1で男性に多かった。年齢の中央値は66.5歳(範囲15-89)、その分布は10代2例(2%)、20代7例(6%)、30代8例(7%)、40代9例(8%)、50代20例(18%)、60代13例(12%)、70代33例(29%)、80代20例(18%)であり、60代以上で約6割を占めた。

国籍は日本75例、米国11例、中国7例、オーストラリア7例、フィリピン4例、インド3例、カナダ3例、タイ1例、香港1例であった。推定感染地域及び経路として、船舶72例、中国/武漢関連11例、東京都11例、和歌山県11例、千葉県2例、神奈川県1例、大阪府1例、石川県1例、国内(都道府県不明)1例、国内・国外不明1例であった。

届出時点の主な症状は、発熱81例/112例(72%)、咳69例/112例(62%)、肺炎43例/66例(65%)、咽頭痛23例/68例(34%)、全身倦怠感20例/61例(33%)、鼻汁・鼻閉17例/64例(27%)、頭痛17例/62例(27%)、下痢11例/64例(17%)、嘔気・嘔吐5例/60例(8%)、関節・筋肉痛4例/58例(7%)、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)3例/41例(7%)、結膜充血0例/53例(0%)であった。

年齢群別の各症状の報告数を以下の表に示す。2月24日現在、無症状症例は6例(5%)であった。医療的介入について、ICU入室8例/52例(15%)、侵襲的換気(気管挿管等)11例/50例(22%)であった。また、年齢群別の医療的介入の報告数を表に示した。その他の介入として体外式膜型人工肺(ECMO)使用が5例(40代1例、60代1例、70代2例、80代1例)であった。今回の分析対象となった112例において、死亡者はなかった(2月24日現在)。

重症例の基礎疾患の有無について、ICU入室例8例では、基礎疾患あり4例・なし1例・不明3例、侵襲的換気を必要とした11例では、基礎疾患あり5例・なし1例・不明5例、ECMOを必要とした5例では、基礎疾患あり3例・不明2例であった。

本稿のまとめは、日本におけるPCR検査陽性症例(厚生労働省2月25日報告:国内140例、チャーター便帰国者15例、クルーズ船691例)の一部である。


発熱が一番多い症状ですが、80歳以上の高齢者では4割しか発熱が認められていません。感染しても発熱せず、咳だけがある状態でいきなり肺炎が見つかるという感じかもしれません。

ICU(集中治療室)入ったり、急性呼吸窮迫症候群 (ARDS)になったすべてが60歳以上だったことも印象的です。やはり60歳以上の高齢者は感染しないように気を付けましょう。

私に来た新型コロナウイルス肺炎についてのデマの中に以下のような文がありました。「 風邪を引いたときは鼻水と痰があり、コロナウイルス肺炎は鼻水のない乾いた咳なので新しいタイプのコロナウイルス肺炎だ。 これが最も簡単な識別方法だ。 このような医療知識についてもっと知れば予防に役立ちます。」しかし、感染者が多い50~70代では3~4人に1人に鼻汁が認められています。こういうデマに騙されて安心しないようにしてください。

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