ビタミンD以外のサプリには効果がないか、むしろ有害作用がある

「サプリメントは効果なし」米医学誌がバッサリ
“「サプリメントは効果なし」記事の不勉強

上の2つの記事は、米医学誌（Annals of Internal Medicine）に掲載された以下の3つの論文について書かれています。

“Oral High-Dose Multivitamins and Minerals After Myocardial Infarction: A Randomized Trial”（論文をみる）
“Long-Term Multivitamin Supplementation and Cognitive Function in Men: A Randomized Trial”（論文をみる）
“Vitamin and Mineral Supplements in the Primary Prevention of Cardiovascular Disease and Cancer: An Updated Systematic Evidence Review for the U.S. Preventive Services Task Force”（論文をみる）。

1つ目の論文の結論は、”High-dose oral multivitamins and multiminerals did not statistically significantly reduce cardiovascular events in patients after MI who received standard medications. However, this conclusion is tempered by the nonadherence rate.”訳すと「経口の高用量マルチビタミンとマルチミネラルは通常の治療を受けた心筋梗塞患者において心血管イベントを有意には抑制しなかった。しかし、途中で臨床試験から脱落した患者が多いことがこの結論に影響している可能性はある。」です。

2つ目の論文の結論は、”In male physicians aged 65 years or older, long-term use of a daily multivitamin did not provide cognitive benefits.”です。訳すと「65歳以上の男性医師ではマルチビタミンを長期で服用しても認知能力へのベネフィットはなかった。」です。

3つ目の論文の結論は、”Limited evidence supports any benefit from vitamin and mineral supplementation for the prevention of cancer or CVD. Two trials found a small, borderline-significant benefit from multivitamin supplements on cancer in men only and no effect on CVD.”訳すと「ビタミンやミネラルががんや心臓病を予防するという証拠はほとんどない。2つの臨床試験でマルチビタミンのがんに対するごくわずかなベネフィットが報告されているけれど、心臓病に対するベネフィットはまったく報告されていない。」です。

最初の記事で、「論文のタイトル『もう十分：ビタミンやミネラルのサプリメントに金を浪費するのはやめよう』が衝撃的だったこともあり、米メディアが一斉に報道し、話題になりました。」というのは”Enough Is Enough: Stop Wasting Money on Vitamin and Mineral Supplements”の訳なので適切ですが、これは「論文」ではなく「論説」です（論説をみる）。

この論説は、さらに結論として「βカロテンとビタミンEは健康に有害で、高用量のビタミンAもおそらく有害である。他の抗酸化剤、葉酸、ビタミンB群、マルチビタミン、ミネラルは主な慢性疾患の予防には効果がない。」と述べています。これは、上の3つの論文とこれまで報告されたすべてのデータをまとめた編集部としての結論です。「不勉強」だとは思えません。

米国家庭医学会も以下の様な声明を発表しています。
USPSTF Draft Recommends Against Beta-Carotene, Vitamin E to Prevent Cancer, Heart Disease