酒は「1日1杯未満」でも複数のがんリスク上昇

酒は「1日1杯未満」でも複数のがんリスク上昇、843研究の再解析で判明
以下は、記事の抜粋です。


「少量なら健康に良い」は本当なのか?
アルコールと健康の関係は、昔から非常に扱いづらいテーマでした。飲酒が肝臓病やがんのリスクを高めることはよく知られています。

一方、少量から中程度の飲酒をする人は、全く飲まない人より心血管疾患や2型糖尿病のリスクが低いように見える、という研究も多く報告されてきました。

このため、「酒は百薬の長」という昔ながらの言葉を、現代の研究はどう見直すべきなのかが議論されてきたのです。

そこで、アメリカ・ワシントン大学の研究チームは、過去に発表された研究を集めて再解析しました。

対象になったのは、乳がん、大腸がん、食道がん、喉頭がん、肝がん、膵臓がん、前立腺がんなど10種類のがんに加え、虚血性心疾患、脳卒中、心房細動、2型糖尿病、アルツハイマー病およびその他の認知症、肝硬変、膵炎、結核、下気道感染症などです。

解析には、1961年から2023年までに発表された843件のコホート研究と症例対照研究が使われました。

その結果、アルコールの影響は病気によって大きく異なることが分かりました。がんや肝疾患ではリスク上昇が目立ちましたが、一部の心血管疾患や代謝疾患では、少量から中程度の飲酒でリスクが低く見える結果もありました。

ただし、この「低く見える」結果をどう解釈すべきかは慎重に考える必要があります。では、具体的にどの病気で、どの程度リスクが変わったのでしょうか。

今回の研究で最もはっきりしていたのは、アルコールとがんの関係です。研究チームは、調べた10種類のがんで飲酒量の増加に伴うリスク上昇傾向を確認しました。

特に重要なのは、リスク上昇が大量飲酒だけの話ではなかったことです。純アルコール量で1日10グラム未満、つまり一般的な標準ドリンク1杯に満たない量でも、咽頭がん、大腸がん、食道がん、乳がん、肝がん、膵臓がん、前立腺がんなどでリスク上昇が見られました。

なかでも最も強い関連が示されたのは、鼻咽頭がんを除く咽頭がんです。平均的な飲酒量の範囲でも、少なくとも105%のリスク増加があると評価されました。

また、喉頭がん、大腸がん、口腔がんでは、中程度の証拠によって有害性が示されました。肝硬変およびその他の慢性肝疾患では少なくとも40%、膵炎では少なくとも22%のリスク増加が示されています。

乳がん、食道がん、肝がん、膵臓がん、前立腺がんでは、証拠の強さはやや弱いものの、飲酒量が増えるほどリスクが高まる傾向は一貫していました。

一般にアルコールは体内でアセトアルデヒドに分解されます。アセトアルデヒドはDNAを傷つける発がん性物質として知られており、こうした仕組みが、飲酒と複数のがんリスク上昇を結びつける背景の一つと考えられています。

一方で、心血管疾患や代謝疾患、認知症については、がんほど単純ではありませんでした。

2型糖尿病とアルツハイマー病およびその他の認知症では、少量から中程度の飲酒でリスクがわずかに低く見える結果がありました。

虚血性心疾患、虚血性脳卒中、出血性脳卒中でも、低から中程度の摂取でリスクが低く見える傾向はありました。しかし、飲酒量が増えると、これらの病気でもリスクは上昇に転じます。

研究者たちも、少量飲酒の利益らしき関連については、慎重な姿勢を取っています。なぜなら、この研究が観察研究が中心だからです。観察研究では、少量飲酒者の方が健康的な生活習慣を持っていたり、所得や医療アクセスに違いがあったりする可能性を完全には排除できません。

このように、今回の研究には限界があります。とはいえ、この研究が示すメッセージは明確です。アルコールの健康影響は病気によって異なりますが、少なくともがんについては「少量なら安全」とは言い切れません。


元論文のタイトルは、”Health effects associated with alcohol consumption: a Burden of Proof study(アルコール摂取に関連する健康影響:立証責任に関する研究)”です(論文をみる)。

お酒を飲むと顔が赤くなる人は、体内でアルコールが分解されてできる「アセトアルデヒド」を無害な酢酸に変える「ALDH2(2型アルデヒド脱水素酵素)」の働きが遺伝的に弱い、または全くない体質です。この現象は「フラッシング反応(アジアンフラッシュ)」と呼ばれ、日本人の約4割がこの「お酒に弱い体質」に該当します。

上の記事にも書かれていますが、アセトアルデヒドが発がんに関わっている可能性が高いので、お酒を飲むと顔が赤くなる人は、アルコールでがんになる可能性がそうでない人よりも高いことになります。「ほんのり桜色」とか思わずに気をつけてください。

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