BNPとNT-proBNP、どちらが有用?
医療関係者用のサイトm3での質問と回答です。自分用のメモです。
Q: 心不全の診断や管理では、BNPとNT-proBNPのどちらが有用でしょうか?
A1: ガイドラインでは、BNP≧100pg/ml またはNT-ProBNP≧400pg/mlをカットオフ値として、心不全を診断するように示されており、それぞれの施設で測定できる方で良いと思います。ただし、腎機能障害や高齢者では、BNPまたはNT-ProBNP値は上昇しやすく、肥満があると上昇しにくいなどの特性もあり、数値の解釈には配慮が必要となります。またBNPはエンレスト使用後に一時的に上昇することが多いため、これらの薬剤の経時的な効果を確認するのであれば、NT-ProBNPが適していると思います。
A2: 感度、特異度に差はないとされていますが、NT-proBNPはほとんどが腎排泄されるため腎機能低下例や透析患者などでは大幅に上昇することがあり、注意が必要です。また、エンレストの使用症例などでは、導入早期にはBNPが上昇しますので、解釈に留意が必要かと思います。
A3: どちらも有用ですが、ARNIでのBNP上昇、腎機能低下症例・高齢者での上昇傾向など以外に、採血後の検体の安定性や採血スピッツの問題もあり、私はNT-proBNPを使用しています。即ち、BNPは血漿採血が必要で、採血後スピッツを氷水に漬けて保存しておかないといけません。一方、NT-proBNPは血清での検査ですので生化学検査の血清採血スピッツでの採血になり、必要に応じて追加検査でオーダー可能です。室温での保管でも安定なので、メディカルスタッフの手間や面倒を減らします。NT-proBNPの方が変動の振れ幅が大きいので、その点は解釈に注意が必要です。





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