高齢者薬物療法ガイドライン10年ぶり改訂

高齢者薬物療法ガイドライン10年ぶり改訂、慎重投与薬と開始推奨薬を更新/老年医学会
以下は、記事の抜粋です。


日本老年医学会は10年ぶりに『高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2025』を改訂し、「特に慎重な投与を要する薬物」と「開始を考慮するべき薬物」のリストを更新した。主に75歳以上の高齢者や要介護者を対象に、薬物有害事象のリスク軽減を目的とする。新たな知見や800を超える論文を基に改訂され、多職種連携や高齢者総合機能評価(CGA)の活用も重視されている。

「特に慎重な投与を要する薬物」には、糖尿病治療で使用が広がるGLP-1受容体作動薬やGIP/GLP-1受容体作動薬が追加され、吐き気・下痢・体重減少といった副作用がサルコペニアやフレイルを悪化させるリスクが指摘された。また、ベンゾジアゼピン系睡眠薬や抗不安薬、抗精神病薬、NSAIDs、利尿薬、抗糖尿病薬など28系統が慎重投与リストに含まれる。その一方で、H2受容体拮抗薬はリストから削除された。

「開始を考慮するべき薬物」には、COPD治療薬のLAMA、LABA、副作用が少ないβ3受容体作動薬やPDE5阻害薬が追加された。ACE阻害薬やARB、DMARDsは削除された。

さらに、「日本版抗コリン薬リスクスケール」が初めて導入され、抗コリン作用を持つ薬剤158種のリスクを3段階で評価。ポリファーマシー対策や服薬支援に役立つ指標となる。

ガイドラインでは、患者のADL、認知機能、生活状況を多職種で共有し、処方の見直しや必要最小限の薬物療法への移行を推奨。漫然と処方し続けることによる健康リスクを防ぐことが求められている。医療現場では、薬剤の必要性を常に再評価し、患者個別の状況に応じた柔軟な対応が重要だ。


10年前に関連記事で指摘した、「中止を考慮すべき薬物もしくは使用法のリスト」とされていたものが、「完成版」では「特に慎重な投与を要する薬物のリスト」に変更されたのはそのままです。

高齢者にこのガイドラインで「特に慎重な投与を要する薬物のリスト」の薬物を処方する時に、警告のメッセージが表示されるような電子カルテはみたことがないです。ガイドラインの効果がどの程度あったのかを老年医学会は検証しているのでしょうか?

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2015年のガイドライン案より

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