高地での試合に「バイアグラ」服用検討、ペルーのサッカーチーム
以下は、記事の抜粋です。
ペルーのプロサッカーチーム、Alianza Limaが、標高2700~3300メートルの高地で行われる国内試合で選手たちに「バイアグラ」を服用させることを検討している。
同チームのWilmar Valencia監督は、「シーズン前のスペイン合宿でチームドクターからバイアグラには高地における選手のコンディショニングに効果があると聞いた」と説明。効果が確認できれば、Alianza Limaではバイアグラを採用するという。
チームドクターのBlacido医師によると、バイアグラは心臓の機能を高め、酸素摂取を向上させる効果があり、またドーピング違反の対象とはならない。ブラジルのGremioなども高地での試合で選手にバイアグラを服用させているという。
国内リーグの試合を標高2700~3300メートルの高地で戦うこともあるペルー。果たして、バイアグラ効果で選手たちの活躍は飛躍的に向上するのだろうか。
バイアグラ®としてよく知られるシルデナフィルは、cGMP分解酵素であるホスホジエステラーゼ5(PDE5)を阻害し、cGMPを増加させることで血管を弛緩させる薬物です。陰茎は海綿体平滑筋が弛緩して海綿体洞内に血液が貯留することで勃起します。このため、バイアグラは男性勃起機能障害の改善薬として広く使用されています。
PDE5は、陰茎海綿体だけでなく、肺動脈平滑筋にも多く存在しています。そのため、シルデナフィルを服用すれば、肺動脈圧および肺血管抵抗が低下します。日本でも、「肺動脈性肺高血圧症(Pulmonary arterial hypertension, PAH)」という病気に対してシルデナフィル製剤が「レバチオ」という商品名で承認され、使用されています。。
PAHは、心臓から肺に血液を送る血管(肺動脈)の末梢の小動脈の内腔が狭くなり、肺動脈圧が高くなる病気です。25mmHgを越えるような肺動脈圧の高い状態が続くと右心不全をきたし、死に至る重篤な病気です。
同様に、高地で低酸素に曝されると、肺の血管が収縮し、肺動脈の圧が上昇して肺水腫が起こる高地肺水腫にもシルデナフィルが有効であるとの報告があります。肺の血流やガス交換が改善され、肺動脈圧も低下するのでしょう。
これらを総合すると、高地でのサッカーにも有効だと思われますが、スタンドに魅力的な女性が多いと大変なことになりそうな気がします。
関連記事
肺動脈高血圧症治療におけるエンドセリン受容体拮抗薬―ボセンタンとアンブリセンタンとテリン®
コメント