血液からiPS細胞をつくる:3グループが同時にCell Stem Cellに発表

1滴の血液からでもiPS細胞 慶応大が技術開発

以下は、記事の抜粋です。


体のいろいろな細胞に変化するiPS細胞(人工多能性幹細胞)を従来より簡単で早く安全に作る技術を、慶応大医学部の福田恵一教授らが開発した。1滴の血液からも作れ、必要な期間も3分の1程度に短縮できるといい、医療への実用化に一歩近づいた。

今回の方法ではまず、人から血液を採取して、リンパ球の一種、T細胞を活性化させて培養する。そこに4種の遺伝子を一時的に入れて、iPS細胞を作った。1滴の血液でも十分だった。

これまでの一般的な方法では、iPS細胞をつくるもとの細胞を得るために皮膚を1センチ弱切る必要があり、小児などでは採取が難しかった。また、皮膚の細胞を取ってからiPS細胞になるまでに約2カ月半かかったが、今回は25日程度に短縮できた。

さらに、従来の方法では、導入した4種の遺伝子が本来の人の遺伝子の間に組み込まれてずっと残り、将来がんができるなどの心配が指摘されていた。今回、特殊なウイルスを使い、4種の遺伝子を一時的に細胞の中に入れるものの、ずっと残らないようにした。入れた遺伝子でがんがおきる心配を解消し安全性を向上させた。

福田教授らは、この新技術によるiPSから心筋細胞ができることを確認した。作り方が簡単になったことによって、再生医療への応用や病気の研究が進むとみている。この成果は、1日付の米科学誌セル・ステムセル電子版に発表する。


Cell Stem Cellをみたところ、以下の3つの論文が並んで掲載されていました。

Generation of Induced Pluripotent Stem Cells from Human Terminally Differentiated Circulating T Cells
Reprogramming of T Cells from Human Peripheral Blood
Reprogramming of Human Peripheral Blood Cells to Induced Pluripotent Stem Cells

どれも、Brief Reportという形式で、Figureが2つだけの短い論文です。1つ目の論文は慶応、2つめはハーバード、3つめはMITを中心としたグループです。どの論文もほぼ同じ内容です。これで、個々の患者の細胞からiPS細胞をつくることが簡単になり、臨床的な研究が進みやすくなると思います。

rasやrhoの標的分子発見の時もそうでしたが、一つの雑誌に独立したグループの研究が複数掲載される場合、同じような研究を行っていた他のグループの研究のほとんどは、論文にならずに消えてしまうのでしょう。

できれば、皆が考えそうなテーマでスピードを競うのは避けたいと思います。

コメント

  1. TAKU より:

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    3論文は似てますが、初期化因子を導入するのにハーバードとMITはレンチか何かを使っているところ、慶応ではディナベック社のセンダイを使っているのが違うようです。iPS細胞作成用センダイウイルスはディナベック社から販売されていて、ビックリです。

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