中等症以上の潰瘍性大腸炎へ新たな経口治療薬が登場
以下は、記事の抜粋です。
ファイザーは、2025年9月12日に中等症~重症の潰瘍性大腸炎に対するスフィンゴシン1-リン酸受容体(S1P1,4,5)調節薬エトラシモド(商品名:ベルスピティ)を発売した。
潰瘍性大腸炎は、大腸におけるびまん性および連続性の粘膜炎症性病変を特徴とし、寛解と再燃を繰り返す慢性炎症性腸疾患で、主な症状として粘血便、下痢、腹部不快感、腹痛などがあり、倦怠感や貧血なども現れる。
潰瘍性大腸炎の治療薬は近年増えているが、2次無効で再燃を繰り返す患者がいる。エトラシモドは、S1P1,4,5に対して選択的に活性を示すよう設計されたS1P受容体調節薬であり、潰瘍性大腸炎(既存治療で効果不十分な場合に限る)に対して1日1回経口投与する。本剤は、潰瘍性大腸炎に対する効能・効果で、2023年10月の米国での承認以降、欧州連合、英国、カナダ、オーストラリアなど38ヵ国と地域で承認されている。
中等症~重症の活動期にある潰瘍性大腸炎患者を対象としたELEVATE UC 12試験で12週間投与を完了した日本人患者を対象に、ELEVATE UC 12試験と同じ投与群に割り付け、エトラシモド2mgまたはプラセボを1日1回、40週間投与し、有効性および安全性を評価した国内第III相ELEVATE UC 40 Japan試験では、主要評価項目である40週間(ELEVATE UC 12試験での投与期間を含めると52週間)治療後の臨床的寛解率で、プラセボに対して高い寛解率を示し、安全性プロファイルも良好だった。
【エトラシモド製品概要】
一般名:エトラシモド
販売名:ベルスピティ
効能または効果:中等症から重症の潰瘍性大腸炎の治療(既存治療で効果不十分な場合に限る)
用法および用量:通常、成人にはエトラシモドとして2mgを1日1回経口投与する。
用法および用量に関連する注意:
感染症のリスクが増大する恐れがあるため、本剤と免疫抑制剤(タクロリムス、アザチオプリンなど)、生物学的製剤、ヤヌスキナーゼ阻害薬などとの併用を避けること。本剤とこれらの薬剤を併用した臨床試験は実施していない。本剤の投与開始後12週時点で治療反応が得られない場合は、他の治療への切り替えを考慮すること。
薬価:4792.8円/錠
製造販売承認取得日:2025年6月24日
薬価収載日:2025年8月14日
発売日:2025年9月12日
製造販売元:ファイザー
エトラシモドは、リンパ球上のS1P1受容体に結合し、リンパ球が末梢血中に移動するのを妨げることで炎症部位への活性化リンパ球の動員を減らします。その結果、炎症を引き起こすサイトカインの産生が低下し、潰瘍性大腸炎の症状が改善されるとされています。
潰瘍性大腸炎には5-ASA製剤が一番よく使われています。最近は、5-ASA製剤が効かない中等症から重症の場合に用いられる生物学的製剤などの新薬が次々に発売されています。今後の展開に期待しています。
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