インフルワクチンの効果、若年には有意だが80歳以上で認められず/日本臨床内科医会
以下は、記事の抜粋です。
日本臨床内科医会が毎年実施しているインフルエンザに関する前向き多施設コホート研究の統合解析が行われ、インフルエンザワクチンは40歳未満の若年層や基礎疾患のない人々において中等度の有効性を示す一方で、高齢者や基礎疾患を持つ人々では有効性が低下することが明らかになった。
研究班は、2002~03年から2018~19年までの17シーズンにわたり、全国543施設から14万8,108例の外来患者を登録した。シーズン前に接種状況を登録、シーズン中にはインフルエンザ様症状で受診した患者の迅速抗原検査結果を登録、シーズン終了後に接種群と非接種群(対照群)における罹患率から毎年の発症予防効果(有効率)を算出した。2002~14年は3価、2015~19年は4価の不活化ワクチンが使用された。ロジスティック回帰分析による調整後、17年間におけるワクチンの発症予防効果を推定した。
主な結果は以下のとおり。
・14万8,108例の参加者の年齢中央値は58歳、女性が58.7%だった。解析の結果、発症予防におけるワクチン有効率(調整後のシーズン別プール解析)は0~15歳で56%、16~65歳で51%と有意な有効性が示されたが、50歳以上では有効性が徐々に低下し、とくに80歳以上では有意な発症予防効果は確認されなかった。
・基礎疾患を有する未接種者の罹患率は、15歳以下では基礎疾患のない患者よりも有意に高かった(p<0.001)。未接種の気管支喘息患者のインフルエンザ罹患率は、疾患なし患者より高く(10.9%対4.0%)、とくに15歳以下の小児(24.2%対12.9%)で顕著であった。気管支喘息小児における調整後ワクチン有効率は60%と疾患なし小児(47%)よりも高かった。
元論文のタイトルは、”Influenza vaccine effectiveness over 17 seasons in a large Japanese cohort: Analyses by age, virus type, underlying diseases and seasons before the COVID-19 pandemic(日本の大規模コホートにおける17シーズンにわたるインフルエンザワクチンの有効性:年齢、ウイルスの種類、基礎疾患、COVID-19パンデミック前の季節別の分析。)”です(論文をみる)。
研究者らは「これらの知見は、ワクチン応答が低下する可能性のある高齢者に対する高用量やアジュバント添加ワクチンの開発や、標的を絞った戦略の必要性を明らかにしている。」とかいていますが、以下の関連記事で紹介したように、これまで日本で毎年定期接種が行われている「標準量」インフルエンザワクチンが遺伝子組換えワクチンや高用量のインフルエンザワクチンと比べて感染予防効果が低いことは既に報告されています。
日本でも今年の1月から高用量のワクチンが接種できるようになりました(記事をみる)。今年はこれを打ってもらおうと思います。
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インフルエンザワクチンの有効性は、遺伝子組換え>高用量>標準量、日本では、、、



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