以下は、記事の抜粋です。
厚生労働省の薬事・食品衛生審議会医薬品第1部会は11月26日、避妊に失敗したときなどに服用し、望まない妊娠の可能性を下げる緊急避妊薬ノルレボ(成分名レボノルゲストレル)について、製造販売を承認しても差し支えないとする意見をまとめた。
ノルレボは女性ホルモンの一種である黄体ホルモンの製剤で、医師の処方により性行為後72時間以内に1回服用。排卵の抑制などで妊娠を80%以上抑える効果があり、欧米など48か国で承認されている。国内では製薬会社「そーせい」が昨年9月に承認申請していた。
性行為後の避妊薬を巡っては、安易な使用を招き、性感染症も予防できるコンドームの普及を阻むといった慎重論がある。その一方で、女性の心身を深く傷付ける人工妊娠中絶を避けられるようになるとして、医師らが導入を要望していた。
記事には何も書かれていませんが、緊急避妊薬については、以下に書いたように大きなドラッグラグがあります。
イギリスでは、レボノルゲストレル(levonorgestrel)を成分とする緊急避妊薬は街の薬局(OTC)で購入できます。アメリカでは、緊急避妊薬”Plan B”(levonorgestrel 0.75mg)は1999年承認当初は医師の処方箋が必要でしたが、2006年に18才以上限定でOTC販売が認可され、2009年に17才以上限定に緩和されました。
今回「そーせい」が申請しているのは、フランスHRA社の”NorLevo”(levonorgestrel 1.5mg、フランスではOTC販売)です。これがようやく、医師の処方箋を必要とする形で承認されそうだというニュースです。
関連記事では、ulipristal acetate (商品名Ellaone)を緊急避妊薬として用いた場合、性交後3日以内ではlevonorgestrelと同等の効果があり、さらに5日後まで有効であることがわかったというLancet誌の論文を紹介しました(論文をみる)。このulipristal acetate(商品名:ellaOne)経口錠は、アメリカFDAによって今年8月に承認されました。イギリスでは以前から既に承認されています。
このままのペースで行くと、ulipristal acetateの承認も、レボノルゲストレル(levonorgestrel)を成分とする緊急避妊薬が日本でOTC販売されるのも、10年以上先になりそうです。
また、上の記事にはレイプ後の緊急避妊ニーズについてもまったく書かれていません。不思議な記事です。
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