アフターピル(緊急避妊薬)のオンライン処方を医師が開始 厚労省は「不適切」と警告するが…
以下は、記事の抜粋です。
性交後に飲む緊急避妊薬「アフターピル」をオンライン処方する医療機関がある。医師は「産婦人科に行けない女性たちのために」と語るが、厚労省は「不適切」という立場だ。一方、欧米では市販薬として薬局で買えるのが一般的。望まない妊娠・中絶を防ごうと活動する団体の代表者は「必要とする人は多く、オンライン処方はもっと普及してほしい」と指摘している。
アフターピルとは、妊娠を回避するため女性が性交後に服用する飲み薬。避妊に失敗したり、性暴力の被害を受けた場合など、緊急時に一定時間内に服用することで、望まない妊娠を高い割合で防ぐことができる最後の手段だ。
9月1日、ナビタスクリニック新宿は、アフターピルをオンライン診療のみで処方する窓口を開設した。オンライン処方では薬を宅急便で届ける必要がある。そのため同クリニックでは、性交後120時間(丸5日間)以内の服用で効果がある「ella(エラ)」を処方する予定だという。日本では未承認だが、欧米などではすでに承認され、薬局でも入手できる。
しかし、こうしたオンライン処方について、厚労省の担当者は「不適切な事例の可能性もある」と説明する。医師法で「無診察治療」は禁じられている。一方で、厚労省は医師不足への対処や働き方改革への対応に有用との立場で、オンライン診療を推進。違反とならない診療方法を通知などで示してきたが、さらなる普及を見据えて2018年3月に「オンライン診療の適切な実施に関する指針」を作成、一部の診療は保険適用となった。
指針には、「原則として初診は対面診療で行い、その後も同一の医師による対面診療を適切に組み合わせて行うことが求められる」と記載されている。一方で「例外として患者がすぐに適切な医療を受けられない状況にある場合など」に限っては「許容され得る」とも書かれており、上記クリニックの久住医師はアフターピルの処方は「例外にあたると判断した」という。
厚労省医事課の担当者は、アフターピルの処方は『例外』にも当たらないと考えている。不適切な事例である可能性があるため、発見次第、都道府県を通じて調査する予定」としている。
久住医師は、厚労省の見解に対して「アフターピルの処方で、対面診療とオンライン診療で得られる情報に差は無い。そもそも、海外では薬局で買える市販薬となっており、安全性すら問題にならない。重要なことは、望まない妊娠を防ぐため、いかに迅速に必要な薬を届けるかだろう。入手にハードルが高い状態を解決する他の方法を提示すべきだ」と反論。オンライン処方は続行する予定だとしている。
性暴力の被害者を支援する団体などから、アフターピルを市販化してほしいという要望は大きい。こうした要望を受けて、厚労省は2017年にもアフターピルについて市販化に向けた検討を行った。しかし、日本産科婦人科学会などから選出された検討委員のメンバーは「薬局で薬剤師が説明するのが困難」や、「安易な使用が広がる」などの懸念を表明して反対し、通常行われるパブリックコメントを募集する以前の段階で、市販化は全会一致で否決された。
一方、アメリカやEU圏内の23カ国で、アフターピルは既に安全性が確認されたとして市販化されている。日本では、薬についての知識や、性教育が遅れていることから「悪用・濫用の懸念がある」として反対の意見でまとまった。
この記事をみて考えたのですが、医院を持たずに初診は往診で対面診療をして、その後はオンライン診療に基づくオンライン処方をするような「オンライン開業」はできるのでしょうか?
緊急避妊薬「アフターピル」については、関連記事をご覧ください。私は、性教育を早く欧米並みに進めて、緊急避妊薬「アフターピル」をOTC化(薬局で処方箋なしで買えるように)すべきだと思います。
関連記事
緊急避妊薬のOTC化、賛成大多数のパブリックコメントを受けても、やはり「不可」
コメント