毒キノコ「ニセクロハツ」の成分は横紋筋融解症を引き起こす

毒キノコ「ニセクロハツ」食べて重体の男性死亡
以下は、記事の抜粋です。


三重県は9月17日、同県桑名市の男性(75)が、ニセクロハツとみられる毒キノコを食べて食中毒を起こし、同日になって死亡した、と発表した。

食品安全課によると、男性は10日、夕食で自分で採ったキノコを自宅で鍋の具材として煮て食べた。11日に下痢や嘔吐などの症状が現れ、同日夜には首から肩にかけて痛みを訴えた。桑名市内の病院に入院後、呼吸困難になり症状が悪化したため、愛知県内の病院に転院。意識不明の状態が続いていた。男性は症状が出た時点で、「食用のクロハツと思って食べた」と話していたという。同課によると、全国でニセクロハツによる死者はデータのある2000年以降では計3人という。


解説記事によると、ニセクロハツ(Russula subnigricans)という毒キノコは、日本、韓国、中国、ネパールなどアジアに広く分布しています。また、このキノコは繰り返し食べなくても発症し、2~3本が致死相当量だそうです。食後30分ほどで、嘔吐や下痢などの胃腸系の症状がおこり、その後、言語障害、痙攣、縮瞳、背中の痛み、血尿(ミオグロビン尿)などの症状が現れた後、死亡する。その主な原因は横紋筋の融解によるものと考えられています。

ニセクロハツの毒成分は不明でしたが、日本の研究者により、2-シクロプロペンカルボン酸(cycloprop-2-ene carboxylic acid)と決定されました(論文をみる)。この物質はC4H4O2のような炭素数4個の低分子化合物で、生物が作る毒物でこれほど小さな分子はとても珍しいそうです。興味深いことに、この物質は高濃度になると重合して無毒化してしまうらしい。

この物質がなぜ横紋筋を融解させるのかもニセクロハツが何のために作っているのかもまだ不明だそうです。いろいろな薬物が副作用として横紋筋を誘拐させますが、そのメカニズムと関係しているような気がします。是非、研究を進めて欲しいと思います。

2-シクロプロペンカルボン酸

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