完治の希望くじく、HIVの巨大な「隠れ家」 米研究
以下は、記事の抜粋です。
HIVは通常、感染者が抗レトロウイルス薬の服用を止めると即座に再活性化して、天性免疫不全症候群(エイズ、AIDS)の本格的発症を引き起こす恐れがあるが、今回の研究結果はその理由を説明している。
研究を率いたJohns Hopkins大のRobert Siliciano教授は、休眠中のHIVの病原巣が免疫細胞内に存在することを1995年に初めて明らかにした。血液検査でHIVが検出されない場合でも、全身の細胞や組織の中に残存するHIVであるプロウイルスが存在することが知られている。このうち全体の約12%が、自らを再活性化して遺伝物質を複製し、他の細胞に感染する恐れがあることが今回の研究で明らかになった。
これらの非誘発性のプロウイルスは、これまでは「不完全」とみなされており、HIV感染症の再発には何の役割も果たさないと考えられてきた。今回の研究では、無傷の非誘発性プロウイルスの感染頻度は、これまで考えられていたよりも「少なくとも60倍高い」ことが明らかになった。
完治を達成するためには、これらの無傷の非誘発性プロウイルスを一掃する必要があると専門家らは述べている。
元論文のタイトルは、”Replication-Competent Noninduced Proviruses in the Latent Reservoir Increase Barrier to HIV-1 Cure”です(論文をみる)。
要するに、HIVウイルス(いわゆるエイズウイルス)は、一度感染するとCD4+とよばれるT細胞の染色体にそのDNAが組み込まれてしまい、そのT細胞を殺さない限り、体から出て行かない。しかも、その約12%は、エイズを引き起こす能力をフルに備えているという話です。
以前一緒に飲んだStem cell biologistが、「どんな病気でも原因治療でないとダメという考え方は傲慢だ」と言っていました。私も、HIVについても、がんについても、ウイルスやがんを皆殺しにするのではなく、ヒトの寿命が尽きるまで暴れないでおとなしくしていてもらうような治療をめざすのが良いと思います。
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