ファイザーの経口コロナ治療薬「パキロビッドパック」と一緒に使えない薬

ファイザーの経口コロナ治療薬「パキロビッドパック」を特例承認/厚労省
以下は、記事の抜粋です。


厚生労働省は2月10日、ファイザーが開発した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する抗ウイルス剤「ニルマトレルビル錠/リトナビル錠」(商品名:パキロビッドパック、以下パキロビッド)について、国内における製造販売を特例承認した。2021年12月24日に承認されたモルヌピラビル(ラゲブリオ)に続き、本剤は国内における2剤目の経口コロナ治療薬となる。

パキロビッドは、重症化リスク因子を有する軽症~中等症患者が投与対象。通常、成人および12歳以上かつ体重40kg以上の小児に対し、ニルマトレルビル1回300mgおよびリトナビル1回100mgを同時に1日2回、5日間経口投与する。

本剤を巡っては、高血圧や高脂血症、不眠症などの治療薬において併用禁忌薬が多数あることから、審議会でも専門家から慎重な投与が必要との意見が出たという。本剤の添付文書には、下記39種の薬剤および含有食品について併用禁忌が明示されている。

【併用禁忌】
▼アンピロキシカム▼ピロキシカム▼エレトリプタン臭化水素酸塩▼アゼルニジピン▼オルメサルタン、メドキソミル・アゼルニジピン▼アミオダロン塩酸塩▼ベプリジル塩酸塩水和物▼フレカイニド酢酸塩▼プロパフェノン塩酸塩▼キニジン硫酸塩水和物▼リバーロキサバン▼リファブチン▼ブロナンセリン▼ルラシドン塩酸塩▼ピモジド▼エルゴタミン酒石酸塩・無水カフェイン・イソプロピルアンチピリン▼エルゴメトリンマレイン酸塩▼ジヒドロエルゴタミンメシル酸塩▼メチルエルゴメトリンマレイン酸塩▼シルデナフィルクエン酸塩▼タダラフィル▼バルデナフィル塩酸塩水和物▼ロミタピドメシル酸塩▼ベネトクラクス▼ジアゼパム▼クロラゼプ酸二カリウム▼エスタゾラム▼フルラゼパム塩酸塩▼トリアゾラム▼ミダゾラム▼リオシグアト▼ボリコナゾール▼アパルタミド▼カルバマゼピン▼フェノバルビタール▼フェニトイン▼ホスフェニトインナトリウム水和物▼リファンピシいかン▼セイヨウオトギリソウ含有食品


多くの薬がこの薬と併用できない理由は、以下の通りです。

パキロビッドを構成するニルマトレルビルは、ウイルスの増殖に必要な酵素であるSARS-CoV-2 のメインプロテアーゼ阻害薬で、ポリタンパク質の切断を阻止することにより、ウイルス複製を抑制します。ニルマトレルビルは肝臓のCYP3A4という代謝酵素で速やかに分解されて効力を失うため、ニルマトレルビルの血中濃度を維持する目的でCYP3A4の阻害作用を持つリトナビルが合剤として追加されています。そのため、CYP3A4で代謝される薬を同時に投与するとそれらの血中濃度が上がってそれぞれの作用や副作用が強く出てしまうので併用が禁忌とされています。

上の薬は一般名で書いてあるので分かりにくいかもしれませんが、有名どころではバイアグラ®(シルデナフィルクエン酸塩)が併用禁忌です。シアリス®(タダラフィル)もレビトラ®(バルデナフィル塩酸塩水和物)も使えないということは、勃起不全治療薬は全滅ということです。併用する状況は考えにくいですが、コロナ治療前にちゃんと飲み薬を申告しないと血圧が下がって大騒ぎになります。

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