牛脂注入肉の「和風ステーキ膳」は「誤表示」か?

ホテルクレメント徳島の「和風ステーキ膳」でも誤表示
以下は、記事の抜粋です。


徳島でも、メニュー表示と異なる食材が使われていたことがわかりました。

ホテルクレメント徳島の和食レストランで提供されていた「和風ステーキ膳」。オーストラリア産の牛肉に牛脂が注入されていましたが、店側は去年11月から表示していませんでした。

担当者は、「景品表示法の知識不足だった、事態を重く受け止めたい」と話していて、返金する方針です。


このような加工食品を一般に、「成型肉」とよぶようです。Wikiでは、「細かいくず肉や内臓肉を軟化剤で柔らかくして結着剤で固め、形状を整えた食肉。牛肉の赤身に牛脂や食品添加物などを注射した、「インジェクション加工」と呼ばれる処理を施した牛肉も含まれる。」とあります。

成型肉の種類や問題点については、野本健司氏が書かれた、「成型肉を考える」をご覧ください。

消費者庁はQ&Aで「牛の成形肉を焼いた料理のことを「ビーフステーキ」、「ステーキ」と表示してもよいでしょうか。 」に対して以下のように答えています(Q&Aをみる)。


食肉関連事業者や食品の専門家は、牛の成形肉が「生鮮食品」の「肉類」には該当せず、「加工食品」の「食肉製品」に該当し、牛の生肉、脂身、横隔膜等に酵素添加物や植物たん白等を加えるなどして人工的に結着し、形状を整えたものであるということを十分理解できているかもしれませんが、これを「ビーフステーキ」、「ステーキ」と表示した場合、この表示に接した一般消費者は、「生鮮食品」の「肉類」に該当する「一枚の牛肉の切り身」を焼いた料理と認識します。

そもそも、牛の成形肉は「生鮮食品」の「肉類」に該当する牛の生肉の切り身ではありませんから、牛の成形肉を焼いた料理について、「ビーフステーキ」、「○○ステーキ」、「ステーキ」のように、「生鮮食品」の「肉類」に該当する一枚の生肉を焼いた料理と認識される表現を用いると、景品表示法第4条第1項第1号(優良誤認)に該当し、景品表示法上問題となります。


しかし、これには異論があり、弁護士の植村幸也氏は以下のように書かれています(ごく一部の引用です。詳しくは植村氏のブログをご覧ください)。


消費者庁の回答が解釈論として成り立つとすれば、一般消費者が、「肉」という表示をみれば、牛脂注入肉は含まれないと考える、という前提が必要です。

しかし、私の感覚では、牛脂注入肉も「肉」であることには変わりないように感じます。というわけで、消費者庁の説明は間違いです。
さらに、今回のホテルのケースでは、「和風ステーキ膳」と表示していたのであって、「肉」とすら表示されていません。


下の動画に成型肉の作り方が書かれていますが、オーストラリア産の肉に和牛の脂をインジェクションするのが一般的なようです。さらに、これをステーキとして料理した場合、「肉の風味」は脂で決まるそうです。というわけで、私も「和風ステーキ膳」として出すことには問題ないと思います。

このように、成型肉を使用した料理を「和風ステーキ膳」と表示するのは「地場野菜」に県外産が交ざるのとは別問題だと思います。ただ、成型肉は肉の中心部に菌にさらされる部分があるため、「ペッパーランチ」でのO-157による食中毒事件のようなことにならないよう、ミディアムレアーで食べたりしない方が安全だと思います。

成型肉のことが非常に良くわかる動画です。

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