納豆で脳卒中死亡リスク3割低下 岐阜大が3万人調査(朝日新聞デジタル)
以下は、記事の抜粋です。
納豆をふだんよく食べる人はそうでない人に比べ、脳卒中で亡くなるリスクが約3割低いとする調査結果を岐阜大のチームがまとめ、米国の臨床栄養学の雑誌で報告した。
年齢のほか、喫煙状況や運動習慣などが影響しないように考慮して計算すると、納豆を最も多く食べていたグループ(1日あたり7グラムほど)の脳卒中による死亡リスクは、納豆をほとんど食べないグループより32%低かった。心筋梗塞(こうそく)などで亡くなるリスクも下がる傾向がみられた。 ログイン前の続き最も多く食べたグループの摂取量は、35グラム入りパックなら週1~2回食べるペース。納豆に含まれる「ナットウキナーゼ」という酵素には血栓を防ぐ作用があることで知られる。ただ、豆腐やみそなど納豆以外の大豆食品からとったたんぱく質でみても、多くとると心筋梗塞による死亡リスクが下がる傾向があった。
研究チームの永田知里教授は「脳卒中や心筋梗塞を防ぐ効果は、納豆以外の大豆食品でも期待できる。ふだんの食事に幅広く取り入れてほしい」と話す。
納豆で脳卒中、虚血性心血管疾患の死亡リスクが低下 岐大が研究結果発表(エキサイトニュース)
以下は、記事の抜粋です。
岐阜大学の研究グループが、納豆の摂取が脳卒中や心血管疾患による死亡率に影響するとの研究結果を発表した。岐阜県高山市など全国8か所で行われた大規模コホート研究「高山スタディ」の一環。35歳以上の男性1万3355人、女性1万5724人を対象として、1992年の調査登録時に納豆含む大豆製品摂取量の調査を実施。納豆の摂取量をもとに4グループに分け、約16年の追跡期間中での脳卒中・心血管疾患での死亡者数から納豆摂取の影響を調査した。
期間中に死亡したのは計1678人。そのうち、脳梗塞含む脳卒中が原因だったのは677人、虚血性心血管疾患含む心血管疾患では308人となった。
納豆摂取量との関係をみると、脳卒中に関しては、大豆たんぱく質の摂取量が最も多かったグループでは25%、納豆の摂取量が最も多かったグループは32%それぞれ死亡リスクが低かった。心血管疾患に関しても、最も納豆の摂取量が最も多かったグループは最も少なかったグループに比べて死亡リスクが25%低かった(ただし、摂取量が増えるほど心血管疾患での死亡リスクが低下するといった関係はみられなかった)。
さらに、納豆の摂取量が最も多かったグループは虚血性脳卒中における死亡リスクも33%低かったとのこと。
ただし、コホート研究はあくまで集団の傾向を表したものであり、具体的にどの成分がどのような影響を与えているかの判別が難しい。このため拡大解釈や応用での効果は期待できないこともある。たとえば上記の納豆摂取と循環器疾患の研究では、納豆以外の大豆製品からの大豆たんぱく質や大豆イソフラボンの摂取と脳卒中・心血管疾患含む全循環器疾患での死亡リスクとの関係は確認されておらず、この事実を知らないまま納豆の替わりにほかの大豆製品で脳卒中・心血管疾患の予防を図るのは不適切だといえる。
元論文のタイトルは、”Dietary soy and natto intake and cardiovascular disease mortality in Japanese adults: the Takayama study”です(論文をみる)。
どちらも岐阜大が発表した論文についての記事ですが、論調がかなり違います。特に、エキサイトニュースが指摘しているように、論文には、”There were no significant associations between the risk of mortality from total CVD and intakes of total soy protein, total soy isoflavone, and soy protein or soy isoflavone from soy foods other than natto. “と書かれており、納豆は効果があるが大豆製品では効果がないように見える不思議な結果もあります。
論文の要約には、大豆たんぱくの摂取は脳卒中による死亡リスクの低下としか関連がないようなのに、永田教授が、納豆以外の大豆食品でも心筋梗塞を防ぐ効果が期待できるように書いているのはおかしいと思います。
あと、エキサイトニュースに書かれていた、「大豆製品を多くとる女性で閉経年齢が早い。」という報告も気になりました。
コメント
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そもそも、大豆を主に蛋白源にしようとする食行動を起こす女性は、身体活動全体がしぼんでいる場合が多いので、閉経が早くなるのかも知れません。
豆腐や納豆に比べて、一般的には肉や魚を食べると胃腸が活発に働き、胃腸の働きが良い人は食後の体温上昇も大きくなります。そういう健康な人は何でも食べることが多く「大豆を主に蛋白源にしよう」と思わないものです。
一方、中年を過ぎて一度、閉経した人でも、生活を変えると月経が再開することがあり、その際には「大豆を主に蛋白源にしようとする」食行動からも脱しているのではないか?…と仮説を立てることもできます。中年を過ぎて閉経してから、生活を変えざるを得ないライフイベントがあって、食行動が若返り、月経が再開した女性を私は二人見たことがあります。
もっとも、月経が重く閉経が遅い食行動を取れば健康な暮らしができる訳でもないので、上述のような仮説を立てて研究する意義は感じられません。