新型コロナウイルスのオミクロン株BA.2.86(ピロラ)から派生したJN.1

新型コロナ、免疫回避能の高いJN.1へ急速に進化
以下は、記事の抜粋です。


新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のオミクロン株BA.2.86(ピロラ)から派生したJN.1は、フランス、米国、シンガポール、カナダ、英国など全世界で急速に拡大しており、WHOは2023年12月18日付で、JN.1をVOI(注目すべき変異株)に追加した。

北京大学のSijie Yang氏らの研究グループは、JN.1のウイルス学的特徴を解析したところ、親株のBA.2.86よりも高い免疫回避能を獲得しており、それが受容体結合ドメインの変異(L455S)によるものである可能性が示唆された。

本研究では、XBB感染後に回復した人の血漿を用いて、疑似ウイルスに基づく中和アッセイを行い、JN.1の体液性免疫回避能を調べた。対象となったのは、不活化ワクチン(Sinovac製)を3回接種後にXBBにブレークスルー感染していた27例、および、ワクチン3回接種後にBA.5またはBF.7に感染し、その後XBBに再感染していた54例。

主な結果は以下のとおり。

・JN.1は親株のBA.2.86と比較して、受容体結合ドメインの変異(L455S)が1つ追加したものとなっている。
・JN.1はBA.2.86と比較して免疫回避能が有意に亢進していた。
・JN.1の免疫回避能は、競合する変異株のHV.1やJD.1.1を上回っていた。
・受容体結合ドメイン変異によって、ACE2との結合親和性が顕著に低下していた。
・8種類のXBB.1.5中和クラス1モノクローナル抗体に対するJN.1の回避能が高まっていた。
・治療用抗体、SA55(Singlomics製)は、JN.1を含むすべての変異株に対して中和効果を維持していた。

JN.1は、BA.2.86の抗原的多様性を受け継ぎ、L455Sを獲得することにより、抗体に対する広範な耐性を急速に獲得し、ヒトACE2結合の低下と引き換えに、より高い免疫回避能を示した。このような株は、抗原性の違いから優勢株とは異なる集団を標的にすることができ、免疫回避性の高い変異を急速に蓄積して感染拡大する可能性がある。


日本国内でも11月頃から増加し、国立感染症研究所によりますと、「JN.1」が検出される割合は12月3日までの1週間で11.6%でしたが、今週(12月28日)の時点では31%に急増していると推定されています。

上図は、アメリカでの過去6か月の新型コロナによる外来受診数(青棒)および新型コロナによる死亡率(オレンジの折れ線)を見たものですが、JN.1株が主流になっているからと言って全体の死亡率が上がっているわけではないようです(元記事をみる)。

しかし、JN.1株になってからは実際のコロナ患者数は増加しているので、今後日本でもJN.1の流行の波が来る可能性は十分あります。既存の新型コロナの検査と治療がJN.1 に対して効果があるので、JN.1株をとくに恐れる必要はないですが、素早いワクチン開発などの適切な対応が求めれます。

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