タケキャブと既存PPIはどう違う?
以下は、記事の抜粋です。
ピロリ除菌にランサップ(一般名ランソプラゾール・アモキシシリン水和物・クラリスロマイシン)が出ていたものが、今やタケキャブ(ボノプラザンフマル酸塩)を用いたレシピに切り替わりつつある。
「タケキャブは除菌率が圧倒的(90%以上)」。「一次除菌の成功率は、どのPPIを使っても70%台。クラリスロマイシンの耐性だけが問題だと思っていたけど、酸分泌抑制の方も成功率と関係があるみたい。」
「タケキャブはクラリスロマイシン耐性株の場合でも除菌率82%。」「クラリスロマイシン耐性株の人の除菌成功率って、ランソプラゾールでは低い(40%)。」
アモキシシリンやクラリスロマイシンは、ピロリ菌の増殖期に作用する。ピロリ菌はpH≦5.0では、ほとんど増殖しなくなるので、除菌に必要な酸分泌抑制レベルはpH>5となる。さらに、アモキシシリンやクラリスロマイシンの抗菌力は、pH7.2の中性条件に比べてpH5.5の酸性条件下で低下することが分かっている。
タケキャブの除菌率が高い理由は、その酸分泌抑制効果の強さだけではなく、「効果発現の早さ」にもある。PPIは効果の立ち上がりが遅い。最大効果発現には数日を要し、恐らく従来の除菌レシピでは、3日目くらいまではほとんど効いていない。
タケキャブは世界に先行して日本で使用されている。添付文書に記載がある神経内分泌腫瘍(カルチノイド)や、新たな副作用の発生などの問題がないかどうか、副作用のモニタリングを続けていく必要があるだろう。
これまでのPPIは、H+と反応してS-S-活性体となり、H+,K+-ATPaseのSH基と結合して不可逆的に阻害します。一方、ボノプラザン(タケキャブ®)は、酸による活性化を必要とせず、カリウムイオンに競合する形でH+,K+-ATPaseを可逆的に阻害し、酸分泌抑制作用を発揮するとされています。つまり、これまでのPPIよりも早く長く効くということのようです。
各種臨床試験で確認されているのは、全ての胃酸関連疾患におけるランソプラゾールに対する非劣性と安全性だけだと記憶していたので、臨床的な効果がこれほど違うとは驚きました。今後の経過を見守りたいと思います。
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