トランスライレチン・アミロイドーシスに対するRNAiの有効性

遺伝性アミロイドーシスに新薬が有望
以下は、記事の抜粋です。


アミロイドーシスと呼ばれる遺伝性疾患に対し、新しい薬剤で高い効果がみられることが報告された。アミロイドーシスは12種類を超える疾患の総称であり、いずれもアミロイドと呼ばれる異常蛋白が主要な臓器や神経に沈着する。このアミロイドの蓄積が臓器を損傷し、最終的には臓器不全を引き起こす。

アミロイドーシスはきわめて稀な疾患であり、米国で年間1,500~2,500人が、最もよくみられる型であるAL型アミロイドーシスと診断されている。遺伝性のアミロイドーシスはさらに稀で、多くはトランスサイレチン(TTR)と呼ばれるアミロイド蛋白が関連している。TTRアミロイドーシス患者は、神経に異常蛋白が蓄積することにより腕や足に有痛性神経障害が生じ、将来的には車椅子の生活となる。TTRアミロイドが心臓にも沈着し、不整脈や心不全を引き起こすこともある。TTRアミロイドのほとんどが肝臓で産生されるため、現在は肝移植が唯一の有効な治療法となっている。

今回、新薬2つ(ALN-TTR01、ALN-TTR02)の第I相試験が実施された。その結果、アミロイドーシス患者32人で血液中のTTR値に顕著な低下がみられたという。この薬剤を開発したAlnylam Pharmaceuticals 社のAkshay Vaishnaw氏は、「月1回の注射でTTR蛋白の値を94%減少できる」と説明している。新薬は、静脈内注入により投与され、TTRの産生を促すプロセスを抑制することによって効果を発揮する。肝臓でのTTR産生が阻止され、血液中のアミロイド値が低下する。


元論文のタイトルは、”Safety and Efficacy of RNAi Therapy for Transthyretin Amyloidosis”です(論文をみる)。
残念ながら、アミロイド―シス全般に有効な治療法ではなく、遺伝的に肝臓でトランスサイレチン(TTR)を過剰産生するタイプのアミロイド―シスをRNA 干渉(RNAi)によって発現を抑制して治療するというものでした。

とはいうものの、抗トランスサイレチンsiRNAを封入した脂質ナノ粒子がヒト体内のトランスサイレチン産生を強力に抑制し、症状も改善傾向を示したというのは、siRNAの臨床応用にとって非常に明るいニュースだと思います。

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