BACE阻害薬は、アルツハイマー型認知症治療薬候補としてはもうダメか?

米イーライ・リリーと英アストラゼネカ、認知症治療薬治験を中止
以下は、記事の抜粋です。


製薬大手の米イーライ・リリーと英アストラゼネカは6月12日、両社が共同開発するアルツハイマー型認知症の治療薬候補(一般名ラナベセスタット)の治験を中止すると発表した。軽度と中度の患者を対象にそれぞれ進めていた後期段階の治験で、十分な治療効果を証明できない見通しが強まった。

イーライ・リリーとアストラゼネカは2014年にラナベセスタットの開発・商品化で提携した。中止された治験には3000人以上が参加していたという。

アルツハイマー病は認知症の6~8割を引き起こすとされる。高齢化などに伴い患者は急速に増え、50年には世界で1億3200万人に達するとの予想もある。アルツハイマー病の治療薬は高い需要が見込めるため製薬各社が競って開発を進めているが、実用化は難航している。

ラナベセスタットは「BACE阻害剤」と呼ばれるタイプの薬。アルツハイマーの発症に関わるたんぱく質が、脳に蓄積することを阻害する働きを持つ。アルツハイマーの発症予防や症状改善の効果が期待されたが、直近では同タイプの候補薬に治験失敗が相次いで出ていた。


BACE阻害剤とは、アルツハイマー型認知症の原因の1つとされる脳内のβアミロイドの生成に関わる酵素BACEを阻害し、治療を目指す薬です。

実験ではアミロイドやプラークを減らすことが確認され、期待を集めましたが、本記事のラナベセスタットだけではなく、メルク社の「ベルベセスタット」(MK8931)も、臨床試験の第Ⅲ相で打ち切られたことが既に発表されています。臨床結果が改善しなかったためです。初期の、記憶悪化の兆候や前駆状態に絞っても改善しなかったそうです。

BACE阻害剤は、ノバルティス、ジョンソン&ジョンソン、日本ではエーザイも新薬開発を進めていますが、早い時期に失敗した業界最大手のファイザーは、神経領域からの撤退を決めています。ファイザーの決断が失敗だったことを祈ります。

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