卵巣がん新薬、患者1割の腫瘍消失
以下は、記事の抜粋です。
免疫を再活性化するタイプの新しい薬の投与により、卵巣がん患者の一部で腫瘍を消失させる効果を臨床試験で確認したと、京大の浜西助教らが発表した。
この治療薬はニボルマブ(商品名オプジーボ)。免疫反応のブレーキを解除してがん細胞を攻撃するよう体内で働き、腫瘍を縮小させる。悪性黒色腫の治療薬として承認された。現在、肺がんで適応拡大の承認申請がされている。
グループは、卵巣がんの手術後にがんが再発し、抗がん剤も効きにくくなった患者20人に対する治験で、この薬を2週間ごとに計4回投与。2人は腫瘍が完全に、1人は部分的に消えた。6人に腫瘍が大きくならないという抑制効果があった。一方、10人は効果が全く見られず、残りの1人は評価ができなかった。
元論文のタイトルは、”Safety and Antitumor Activity of Anti-PD-1 Antibody, Nivolumab, in Patients With Platinum-Resistant Ovarian Cancer.”です(論文をみる)。
日本の国粋的なメディアの記事だけみていると、ニボルマブ(オプジーボ®)のニュースばかりが取り上げられていますが、いろいろな悪性腫瘍に効果が期待される免疫チェックポイント阻害薬をめぐる製薬業界の争いは非常にホットです。
PD-1阻害薬(モノクローナル抗体)では、メルクのペンブロリズマブ(キートルーダ®)と、ブリストル・マイヤーズ・スクイブと小野のニボルマブ(オプジーボ®)が、激しく争っています。リガンドのPD-L1を標的にしたモノクローナル抗体も加えると、8種以上が臨床試験中だといわれています。
悪性黒色腫に加えて、非小胞肺がんに対する効能が追加申請されており、腎がん、乳がんなど、その他のがんにも有効だとする報告が次々に発表されています。
上の報告は卵巣がんにも有効だとする最初の論文だそうです。効果がPD-1/PD-L1の発現に依存しないという報告もあるので、今後は何が有効性を決めているのかの解明が重要だと思います。
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