ピロリ除菌は、4剤併用や整腸菌製剤の併用などが有効面・安全面で優れる

ピロリ除菌は「3剤併用」がベストではない:4剤併用や整腸菌製剤の併用などが有効面・安全面で優れる、メタアナリシスで示唆
以下は、記事の抜粋です。


抗菌薬耐性ピロリ菌が世界的に広まる中、プロトンポンプ阻害薬(PPI)、クラリスロマイシン(CAM)とアモキシシリン(AMPC)またはメトロニダゾール(MNZ)の3剤を併用する「標準3剤併用療法」による除菌率は低下している。Bao-Zhu Li氏らは、様々な除菌療法を比較したランダム化試験を対象に、メタアナリシスを実施。標準3剤併用療法よりも有効面や安全面で優れる除菌法が複数あることを報告した。

著者らは、系統的レビューにより抽出したランダム化比較試験143件を対象に、ネットワークメタアナリシスを実施。試験で検討されていた計14種類の除菌レジメンについて、有効性や安全性に基づいたランク付けを行った。評価項目は、除菌成功率と一般的な有害事象に設定。有効性評価の対象は3万2056人、忍容性評価の対象は2万2180人になった。平均年齢は47歳で、53%が男性だった。

除菌成功率に基づいてランク付けすると、最も有効性が高いのは、PPIと3種類の抗菌薬(AMPC、CAM、5-ニトロイミダゾール)を7日間投与する4剤併用療法であった。2位は、上記の4剤を10日または14日間併用するレジメンだった。以下、整腸菌製剤と標準療法の併用(10日または14日)、PPI+レボフロキサシン+抗菌薬1剤の3剤併用療法(10日または14日)、ハイブリッド療法、逐次療法と続いた。7日間の標準療法より除菌成功率が低いレジメンはなかった。

どの治療も忍容可能であったが、治療期間が短い方が有害事象は少ない傾向が見られた。有害事象の発生率という観点からは、整腸菌製剤と標準療法の併用(7日間)とレボフロキサシンを含む3剤併用療法(7日間)が最良だった。


元論文のタイトルは、”Comparative effectiveness and tolerance of treatments for Helicobacter pylori: systematic review and network meta-analysis”です(論文をみる)。

実際の数字をみると、標準療法の除菌率は73%、7日間4剤併用療法では94%、整腸菌製剤と標準療法の併用では90%です。

標準療法が効きにくい理由はおそらく、クラリスロマイシン(CAM)とメトロニダゾール(MNZ)に対する耐性菌が蔓延しているからだと思われます。トルコでは約40%がCAM耐性だそうです。

メトロニダゾール(MNZ)も5-ニトロイミダゾール系薬物なのですが、4剤併用というのが単にPPI、CAM、AMPC、MNZの全部使いなのか、MNZ耐性菌にも効く5-ニトロイミダゾール系薬物を使ったのかよく分かりません。おそらく全部使いだろうと思います。

プロバイオティクス(ビオフェルミンRなどか?)を使うだけで17%も除菌効果が上がるのも不思議ですが、耐性菌とのイタチゴッコを避けることを意識すれば、1次除菌は標準+プロバイオティクスということになるのでしょうか?また、この論文では書かれていませんが、除菌率は耐性菌だけではなく胃酸抑制にも関係するので、ボノプラザン(vonoprazan、タケキャブ®)をPPIとして用いる標準(?)療法+プロバイオティクスも考えてみたいと思います。

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