以下は、記事の抜粋です。
メルクが開発しているがん免疫薬の「キイトルーダ」が、悪性黒色腫の治療薬として承認される見通しとなった。9月9日に厚生労働省の専門部会で、承認して問題ないとの判断が下された。1カ月以内に厚労省から承認される見込みだ。
キイトルーダは小野薬品工業が製造販売するがん免疫薬「オプジーボ」と同じ作用を示す抗がん剤。オプジーボのライバル製品が国内で初めて登場することになる。米国では悪性黒色腫に対して、オプジーボよりも先に承認されていた。
日本では悪性黒色腫以外に、非小細胞肺がんにも承認申請されており、いずれもオプジーボと対象疾患が重なり競合する。
オプジーボは年間約3500万円という薬価の高さが問題視されており、厚労省が薬価引き下げや適正に使用するための議論を進めている。両薬剤の悪性黒色腫に対する効果の優劣は、現時点では明らかになっていない。 同様のがん免疫薬はロシュやアストラゼネカ、ファイザーなども開発中で、競争が激化している。
ペンブロリズマブ(キイトルーダ®、pembrolizumab、Keytruda®)は関連記事に書いたように、ニボルマブ(nivolumab、オプジーボ®)とまったく同じ標的分子PD-1受容体に対するヒト型モノクローナル抗体です。
PD-1受容体には、腫瘍に対する免疫システムの活性を抑制する働きがあり、これらの抗体はこの抑制を阻害することにより、腫瘍に対する免疫システムを活性化すると考えられれています。
オプジーボ®は「切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌(NSCLC)」の国内適応追加承認を取得したばかりです。しかし、関連記事に紹介したように、未治療の非小細胞肺がん患者に対して、初めからオプジーボ®を単独で使っても効かないという臨床試験の結果が報告されました。一方、キイトルーダ®は効いたと報告されています。
作用機序から考えると、キイトルーダ®でもオプジーボ®でも、どちらの効果も同じようなものだと思うのですが、以上のように、これまで報告された結果ではキイトルーダ®が先行しています。今後は、PD-L1のコンパニオン診断やPD-L1抗体も含む激しい競争が予想されます。その競争の中で適正な価格と適応に落ち着くことを期待しています。
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