歯科で歯周ポケットに注入する抗生物質は有効か?

歯科で歯周ポケットに注入する抗生物質
グーグルで「歯科でポケットに注入する抗生物質」でサーチをすると以下のような答えが出てきました。


歯科で歯周ポケットに注入される抗生物質は、主にミノサイクリン塩酸塩を有効成分とする軟膏剤「ペリオクリン」や、テトラサイクリン系の抗生物質を含む「ペリオフィール」などがあります. これらの薬剤は、歯周病の治療において、局所的に抗生物質を投与することで、歯周ポケット内の細菌感染を抑え、炎症を改善する効果を期待して用いられます.


歯周病菌について東京国際クリニックのサイトによると以下のように書かれています。


歯周病の原因はプラークに潜む歯周病菌で、それによって引き起こされる感染症が歯周病です。「歯周病菌」というのは特定の一つの菌を指しているわけではなく、歯周病の発症・進行に関与する細菌の総称です。実際には、800種類を超える細菌が歯周病の発症・進行に関与していると言われています。なかでも、特に注意を要するのが「レッドコンプレックス」と呼ばれる以下の3種の細菌です。

・P.g菌(ポルフィロモナス・ジンジバリス)
・T.f菌(タネレラ・フォーサイシア)
・T.d菌(トレポネーマ・デンティコーラ)

レッドコンプレックスの3つの菌が揃うと歯周病が進行しやすくなりますが、なかでもP.g菌がもっとも病原性の強い細菌だと言われています。

口腔内が健康な状態であればP.g菌は低病原性であり、感染していても体に害が及ぶことはほとんどありません。しかし、ブラッシングが不十分になるなどして口腔内が不衛生な状態になると、歯茎に炎症が起こり、歯茎から出血するようになります。そうなると、P.g菌はたちまち高病原性になります。

P.g菌の特徴の一つとして、血液をエサにするという性質があります。そのため、歯茎からの出血があるとP.g菌は血液をエサにして数百倍から数万倍にまで増殖して、歯周ポケットをどんどん深くしていくのです。また、P.g菌は酸素のない場所を好みます。歯周ポケットの深さが4mm以上になるとポケットの奥深くは酸素が少なくなるため、P.g菌はますます活発になります。そうなると、私たちの体はP.g菌を避けるために自ら骨を溶かします。これが、歯周病によって顎の骨が溶かされるメカニズムです。

「P.g菌と歯周病」に関する最近の考え方
歯周病は「P.g菌を代表とするレッドコンプレックスによる細菌感染症」であると言えます。しかしながら、最近はこの考え方が少し変わりつつあります。

近年の研究によって、P.g菌は免疫を抑制する働きがあることが分かってきました。口腔内でP.g菌が増えると身体の免疫バランスが崩れます。その結果、「歯周病に関連する他の細菌が増えることで歯周病が進行する」と考えられるようになってきました。P.g菌によって宿主の防御機能が低下することで、他の常在菌の数や組成に変化が起き、それによって歯周病が発症・進行するという考え方です。

今後の研究に注視する必要がありますが、いずれにしてもP.g菌はプラーク(歯垢)のなかで増殖することに変わりはありません。歯周病の発症・進行を防ぐには、プラークの取り残しをできるだけ少なくする「プラークコントロール」が重要です。


以上の説明によると、歯周病の治療には「プラークコントロール」が重要であるとされていますが、抗生物質(抗菌薬)にはほとんど触れられていません。次にグーグルに「ミノサイクリンはP.g菌(ポルフィロモナス・ジンジバリス)に有効ですか?」と聞いてみたら、AIが次のように答えてくれました。


はい、ミノサイクリンはP.g菌(ポルフィロモナス・ジンジバリス)に有効です。ミノサイクリンは、歯周病の原因となるポルフィロモナス・ジンジバリスを含む歯周病原性菌に対して強い抗菌作用を持つため、歯周炎の治療に用いられます。


ミノサイクリンは、一般的な細菌性感染症では、7日から14日程度の毎日投与することで十分な効果を得られるとされています。そこで「1回のポケット内へのミノサイクリンの注入で本当に有効ですか?強いエビデンスはありますか?」とChatGPTに聞いてみました。以下が回答の抜粋です。


ご質問ありがとうございます。ミノサイクリンの歯周ポケット内への単回投与に関する有効性については、一定の効果が示唆されていますが、その持続性や臨床的意義には限界があります。

🔍 単回投与の効果とその限界
ある研究では、2%ミノサイクリン含有ストリップスを歯周ポケットに単回投与した結果、投与後3日目および7日目で疼痛、腫脹、出血、排膿の有意な減少が観察されました。また、プロービング深さや歯肉溝滲出液量の減少も確認され、細菌学的にも黒色色素産生性グラム陰性嫌気性桿菌の構成比率が明らかに減少していました 。しかし、これらの効果は短期間に限られ、長期的な持続性には乏しいとされています。

📚 臨床ガイドラインと推奨される投与法
日本歯周病学会のガイドラインでは、歯周基本治療後に改善が見られない歯周ポケットに対して、2%塩酸ミノサイクリン歯科用軟膏の局所投与を1~2週間に1回、3~4回連続で行うことが望ましいとされています(エビデンスレベル2、推奨度グレードB) 。

✅ 結論
ミノサイクリンの単回投与は、短期間の症状緩和や細菌数の減少に一定の効果があるとされていますが、持続的な治療効果を得るためには、繰り返しの投与や他の治療法との併用が推奨されます。


「エビデンスレベル2」ということは、エビデンスはあるが強くはないということです。ついでに「ポケット内への注入はかえってポケットを大きくして歯周病を悪化させることはないのですか?」という質問をChatGPTにしてみました。以下は、その回答からの抜粋です。


⚠️ 不適切な注入によるリスクとその回避
適切な手技で行われない場合、以下のようなリスクが考えられます:
●薬剤の過剰注入:過度な薬剤の注入により、歯周ポケットが一時的に拡大する可能性があります。
●機械的刺激による組織損傷:注入器の先端が歯周組織を傷つけることで、炎症や感染のリスクが高まることがあります。


以上の結果を私なりにまとめると、「ペリオクリン」などの抗生物質の1回だけの歯周ポケットへの注入は、短期間の症状緩和や細菌数の減少に一定の効果があるかもしれないが、持続的な治療効果を得ることはできない、ということだと思います。

「プラークコントロール」だけが重要なのでしょうか?それとも、歯周ポケットへの注入に加えて、おなじ抗生物質(例えばミノサイクリン)の1週間程度の経口投与は有効でしょうか?

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