有酸素運動や複合運動よりも、筋トレが睡眠の質を高める最も効果的という報告

高齢者の不眠症に最も効果的な運動は筋トレ
以下は、記事の抜粋です。


高齢者の不眠症の改善に最も効果的な運動は、レジスタンストレーニング(筋トレ)であるとする論文が発表された。ただし、筋トレだけでなく、有酸素運動などの有効性も確認されたという。

加齢とともに睡眠の質が低下する。高齢者の12~20%が不眠症に悩まされているという報告もある。運動が不眠症改善、および不眠症に併存しやすい前記の疾患のリスク抑制に有効であるとするエビデンスが蓄積されてきている。ただし、運動の種類によって不眠症に対する効果が異なるのか否かという点は、これまで明らかにされていない。そこでマヒドン大学ラマティボディ病院(タイ)のKittiphon Nagaviroj氏らは、過去の研究報告のデータを統合した解析によりこの点について検討した。

著者らは、Medline、Embase、CINAHLなどの文献データベースに2022年10月までに収載された論文を対象として、60歳以上の成人における運動と睡眠の質との関連を検討したランダム化比較試験の報告を検索。25件の報告を解析対象として抽出した。

これらの研究の参加者数は合計2,170人で平均年齢70.38±4.56歳、女性71.85±21.86%であり、20件(80%)は一般住民対象、5件(20%)は介護施設居住者を対象として実施されていた。運動介入期間は平均14週間で、1回に50分強の運動を週に2~3回行っていた。運動の種類は、有酸素運動(速歩、サイクリング、水泳、ダンス、ガーデニングなど)、レジスタンストレーニング(ウェイトや体重を利用した筋トレ)、バランス運動(つま先立ちなど)、柔軟性運動(ヨガ、ピラティスなど)、およびこれらを組み合わせた複合運動として行われており、運動強度は軽度から中等度とした研究が半数以上だった。

メタ解析の結果、ピッツバーグ睡眠品質指数(PSQI)の改善効果が最も高い運動はレジスタンストレーニングであり、PSQIが5.75点低下していた(PSQIは低い方が睡眠の質が高いことを意味する)。有酸素運動は3.76点、複合運動は2.54点の低下(改善)を示した。

この結果に基づき著者らは、「睡眠の質の改善には運動の中でも特に、レジスタンストレーニングと有酸素運動が有益である」と結論付けている。


元論文のタイトルは、「不眠症の高齢者集団におけるさまざまな種類の身体運動が睡眠の質に及ぼす影響:無作為化対照試験の系統的レビューとネットワークメタ分析」です(論文をみる)。

論文は、”Exercise that strengthens muscles, rather than aerobic or combination exercises, is the most effective way to enhance sleep quality.(有酸素運動や複合運動よりも、筋肉を強化する運動が睡眠の質を高める最も効果的な方法です。)”と結論しています。

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