【空が黒く染まった!】大阪万博 ユスリカ大量発生を徹底検証…根本原因は鳥が消えた“環境破壊”3年前の警告が現実に
以下は、記事の抜粋です。
「ギャー!」空を覆いつくす黒い大群から、身をかがめて逃げる来場者たち。だが、羽音を立てながら迫りくる“やつら”相手にはなすすべがない――。5月上旬以降、大屋根リングの上で毎日のように見かける光景だ。
4月13日に開幕した大阪・関西万博。目下、世間を騒がせているのは世界各国が出展した壮麗なパビリオンではなく、大量に発生した虫だ。
ゴールデンウィークに雨が降って以降、大量に発生するようになった。とくに酷いのは、日没前の海側の大屋根リングであることがわかった。天気の良い日は、大阪湾に沈む夕景を見に来るため大勢の観客が大屋根リングに集まるが、18時を過ぎて足元がライトアップされると、待ち構えたようにそこら中から虫が一斉に飛び立ち、リングは阿鼻叫喚の地獄と化すのだ。
大量発生している虫は、ハエの一種であるシオユスリカであることがわかっている。ユスリカは蚊と似た外見をしているものの、人を刺すことはない。
害虫防除技術研究所の代表で医学博士の白井良和氏はこう語る。「ユスリカ科の中でもシオユスリカだと同定されたようですね。シオユスリカは、汽水域で春から秋にかけて発生します。生息地は沿岸地帯や河口、瀬戸内海の干拓地などが挙げられており、万博会場はまさにこの種の繁殖に適した場所であり、季節的にもこれから繁殖する時期です。植栽などの小さな水たまりだけでは、今回のような大発生にはいたらないので、やはり海側のウォータープラザが発生源だと思われます」
すでに飛び回っている成虫を駆除することは、あまり意味がないという。
「ユスリカは光に集まるので、店内への侵入対策として殺虫ライトや殺虫剤などは効果があります。ただ、膨大な数のユスリカ死骸の清掃などは手間がかかりますね。スイングフォグという、殺虫剤を噴霧器でばら撒く方法もあるのですが、イメージダウンにつながりますし、現実的ではありません。成虫を駆除したところで多勢に無勢で、根本的な解決にはなりません。来場者が自衛する方法も、ほとんどありません。」
大阪府の吉村知事は5月21日の会見で、府と包括連携協定を結んでいるアース製薬に“ユスリカ対策”の協力を要請したことを発表した。殺虫剤の力でなんとか消し去ろうというわけだが、
「その方法は誤っていると考えています」
と異を唱えるのは、公益社団法人の大阪自然環境保全協会「ネイチャーおおさか」だ。じつは同団体は、3年前からユスリカの大量発生などについて、いわば“警告”をおこなっていた。同団体は2022年3月にX上で
《万博予定地で大阪府レッドリスト生物多様性ホットスポットAランクの #夢洲 では毎年大阪市内とは思えないほど多くのユスリカが発生 それが多くの虫や鳥の命を支えてきた。万博協会は、小さな緑地を会場に作るので鳥も大丈夫といいます。でもその緑地には、彼らを養えるだけのユスリカはいますか?》
と綴っていた。結果として、ユスリカを餌とする鳥が消えたことと引き換えにユスリカが大量発生するという皮肉な事態となっている。同団体の担当者はこう語る。
「私たち自然保護団体は、夢洲について、鳥類を中心とする生物現地調査に入らせていただき、何度も協議会に参加して、意見を述べてきました。夢洲は、長期にわたる埋め立ての過程で、大阪府が生物多様性ホットスポットのAランクに指定するほど、優れた自然のある場所になっていたんです。特に渡り鳥の日本有数の渡来地になっています。これをつぶすのではなく、保全していただきたいとお願いしてきたわけです」
ところが、同団体の提言は一切聞き入れられることはなかった。
「その結果、多様な生態系は完全に壊滅してしまいました。『生態系への影響はない』と書き並べたアセスメント報告書の“誤り”が、ユスリカの大量発生という“現実”によって“指摘された”ものと理解しています」(同前)
大量の殺虫剤によって、夢洲から渡り鳥だけでなくユスリカまで消し去るという方法は、環境破壊の“上塗り”にすぎないというわけだ。
本質的な対策は、もう一度豊かな生態系を取り戻すことだという。
「世界的にも鳥類の生息場所は急速に滅失しており、生息・渡来できる場所を復元することは緊急の課題です。夢洲という場所は、今からでも回復の策を講じていけば、博覧会終了後には新たな生態系の形成が可能であり、いずれは再び多くの生物が繁殖したり越冬する場所となりうるポテンシャルのある場所です」少なくとも現時点では、虫の命だけが輝く会場というわけだ。
そうだったのか、、、万博が終わったら夢洲をトリさん達に返してあげてください。
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