特発性間質性肺炎に対するニンテダニブ、ピルフェニドン、アセチルシステインの効果

特発性間質性肺炎とは、難病情報センターによると、肺の間質を炎症の場とする病態の異なる7つの疾患からなり、「特発性肺線維症」、「器質化肺炎」、「非特異性間質性肺炎」の3つの疾患がほとんどだそうです。人口10万人あたり20人程度と推定されています。特発性肺線維症の診断確定後の平均生存期間は2.5~5年間と報告されています。予後不良の難病です。

治療薬について、難病情報センターのHPには、「日本で初めて認可された抗線維化剤ピルフェニドン(pirfenidone)は世界的にもその効果が注目されている。IPF患者に対しては病態に応じての多段階治療が推奨されているが、実際そのエビデンスはまだ確立されていない。」と書かれています。

最近のNEJMに、上記のピルフェニドンを含む3つの薬物(あとの2つは、ニンテダニブン(Nintedanib)とアセチルシステイン(Acetylcysteine))の特発性肺線維症に対する臨床試験結果が報告されていたので簡単に紹介します。論文のタイトルと概要は以下の通りです。

Efficacy and Safety of Nintedanib in Idiopathic Pulmonary Fibrosis
複数のチロシンキナーゼを標的とするニンテダニブ(nintedanib、BIBF1120)の第2相試験の結果を報告したもので、150mgを1日2回投与することにより、肺機能低下と急性増悪が抑制されたそうです。

A Phase 3 Trial of Pirfenidone in Patients with Idiopathic Pulmonary Fibrosis
ピルフェニドンが肺機能、運動耐容能、無増悪生存期間を指標とした疾患の進行をプラセボよりも有意に抑制したという第3相試験の結果です。

Randomized Trial of Acetylcysteine in Idiopathic Pulmonary Fibrosis
アセチルシステイン群とプラセボ群との間で努力肺活量の変化量および死亡率に有意差は認められなかった、という結果です。
以上、アセチルシステインは、残念ながらあまり効かないようですが、ピルフェニドンにもニンテダニブにも希望がありそうです。今後の発展に期待しましょう。

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