中年男性の心筋梗塞リスク、腕立て伏せ回数で予測可能

今年最も多く読まれたJAMA Networkの論文12編でダントツの1位だった論文は、腕立て伏せが何回できるかが将来の心血管リスクと関連するという論文でした。タイトルは、”Association Between Push-up Exercise Capacity and Future Cardiovascular Events Among Active Adult Men”です(論文をみる)。以下は、その論文を紹介する記事とその抜粋です。

心筋梗塞リスク、腕立て伏せ回数で予測可能?


米国の男性消防士を対象に行われた研究で、一定のペースを保ちながら腕立て伏せができる回数が多い人ほど、その後10年間の心血管疾患(心筋梗塞や脳卒中など)の発症や心臓突然死のリスクが低いことが明らかになりました。一定のペースで行う腕立て伏せが連続で10回以下しかできなかった人に比べ、41回以上できた人では、その後10年間の心血管疾患発症などのリスクが96%も低くなっていました。

喫煙、高血圧、糖尿病などは心筋梗塞や脳卒中などの心血管疾患のリスクを高める危険因子であり、反対に、運動はリスクを低減することが知られています。

ハーバード大学のJustin Yang氏らは、心肺持久力の代替指標として、腕立て伏せ能力(一定のペースで持続可能な回数)が役に立つのではないかと考え、その後の心血管疾患などの発生との関係を調べました。

対象となったのは、米インディアナ州内10カ所の消防署に勤務していた18歳以上の男性消防士1562人(平均年齢39.6歳)です。腕立て伏せは、1分間に80回のペースで、メトロノームの拍子に合わせて実施しました。実施中はスタッフが監視し、(1)80回になるまで、(2)メトロノームに合わせられなかった回が3回になるまで、(3)疲労または他の症状(めまいや胸痛、息切れなど)により本人がやめるまで――のいずれか一番早い時点までカウントしました。

登録された1562人のうち、腕立て伏せに関するデータが得られた1104人を今回の分析対象にしました。腕立て伏せができた回数に基づいて、参加者を5つのグループに分け、その後10年間の心血管イベント(心筋梗塞・狭心症・心不全の発症、心臓突然死など)の有無を調べました。

分析の結果、腕立て伏せの回数が多い人ほど、登録時点の心血管疾患の危険因子(BMI、血圧、総コレステロール値、LDLコレステロール値、中性脂肪、血糖値など)の数値が低いという、逆相関関係があることが分かりました。

決まったペースで10回以下しか腕立て伏せができなかった人(参照群)に比べ、40回を超えて腕立て伏せができた人の心血管イベントリスクは、96%も低くなっていました(表1参照)。参照群と比較すると、11回以上実施できた人々の心血管イベントリスクは、全て統計学的に有意に低くなっていました。


記事にも書かれているように、腕立て伏せの能力が、その後の心血管イベントリスクと関係することが示されましたが、腕立て伏せ回数を評価した時点の、参加者たちの心血管疾患の危険因子の保有状況の違いによって説明できる可能性があります。それにしても、中年男性は腕立て伏せが1分間に80回というペースで40回以上できる身体を目指すのがよさそうです。

高齢者の場合は何回ぐらいが目標になるのでしょうか?

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