スギ花粉成分入りコメ…花粉症の治療として普及する?

花粉症、コメ食べて治す スギ花粉成分入り、臨床研究へ

以下は、記事の抜粋です。


スギ花粉の成分を含んだ特殊なコメを食べて、花粉症の治療につなげる臨床研究を、大阪府立呼吸器・アレルギー医療センター(大阪府羽曳野市)などが11月から始める。うまくいけば、コメを食べるだけで根治できる可能性がある。

スギ花粉による花粉症は、日本人の約4人に1人と推計されている。スギの花粉に含まれ、花粉症の原因となる物質を少量だけ口に含んだり、注射したりして症状を抑える治療法があるが、3~5年かかる。

臨床研究では、原因物質の目印となる部分が米粒の中で作られるように遺伝子を組み換えた「花粉症緩和米」を使う。農業・食品産業技術総合研究機構(茨城県つくば市)が開発し、隔離して栽培している。

今回、希望する研究機関や企業に提供することになった。  コメは、日本人に身近な上、胃で分解されずに腸まで届くたんぱく質を含んでいる。花粉症の人が毎日食べ、この目印が腸で吸収されるうちに、体内の免疫機能がこの目印に慣れて、過剰に反応しなくなると考えられている。

原因物質そのものは含まれていないため、強いアレルギー症状は出ないとされる。


このコメについては、農業・食品産業技術総合研究機構のホームページに詳しい説明があります。

記事では、このスギ花粉成分入りコメの将来が希望に満ちているように書かれていますが、そうでしょうか?

記事に書かれているように、スギ花粉エキスによるアレルゲン免疫療法は既にあります。特にシダトレン®と呼ばれる舌下に抗原を投与する方法は、皮下投与に比べて安全で、アナフィラキシーショックの報告はまだありません。また、上の記事には3~5年かかると書かれていますが、これは治癒にかかる年数で、約7割の患者が2年目までに効果を認めたとされています。

エピトープのみをコメから摂取する方法が、シダトレン®よりも副作用が少なく、早く治療できるというエビデンスはまだありません。さらに、このイネは外来遺伝子を組み込んで発現させているので、「遺伝子組換え植物」です。関連記事で紹介したように、ビタミンA欠乏症を救うイネ「ゴールデンライス」の栽培も「遺伝子組換え植物」であるという理由でグリーンピースなどに強く反対されています。

子どもたちの多くが失明や死の危険にさらされているフィリピンでも「遺伝子組換え植物」であるという理由で「ゴールデンライス」の栽培は反対され、フィールド試験が反対派によって破壊されたそうです。日本で「遺伝子組換えイネ」の栽培がすんなりと受け入れられるとは思えません。イバラの道が待っていると思います。

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