医師不足2万4000人?

医師不足2万4000人 厚労省調査

以下は、記事の抜粋です。


厚生労働省は2010年9月29日、全国の医療機関で計2万4033人の医師が不足しているとする「必要医師数実態調査」の結果を発表した。調査は全国の病院と分娩取り扱い診療所計1万262の医療機関が対象で、回収率は84.8%。

調査によると、6月1日現在、医療機関が求人している医師数1万8288人に、求人していないが必要と考える医師数を加えた計2万4033人が不足し、現在の医師数16万7063人の1.14倍が必要と判明した。

都道府県別にみると、岩手が1.40倍と特に目立ち、青森が1.32倍、山梨が1.29倍、鳥取が1.28倍とそれに続いた。逆に東京、大阪、神奈川などは1.08~1.10倍と倍率が小さかった。診療科別では、リハビリ科1.29倍、救急科1.28倍、産科1.24倍などで医師不足が目立った。


この調査の目的は良くわかりませんが、タイトルの「医師不足」はmisleadingで、良くみれば「勤務医不足」であることがわかります。

また、2万4033人という数字は決して大きなものではありません。医師数は年間約4000人ずつ増えています(データをみる)ので、勤務医を辞めて開業する医師が爆発的に増えない限り、現在の求人人数(1万8288人)は5年以内にカバーできるはずです。

そもそも厚生労働省やマスコミは、この「医療崩壊」状況の中で、病院が必要と考えたり求人している医師数が、本当に不足している医師数をあらわしていると考えているのでしょうか?

「医師密度指数」、東京と茨城では4.56倍もの差」や「医師数の変化をグラフ化してみる」に報告された地域や診療科による偏在が、単純にあと2万4千人医師を増やすことで解決すると考えているのでしょうか?

上記のデータには、歯科医師や薬剤師の数も出ていますが、現在の医師数の増加ペースは過去の歯科医師のペースをはるかに上回っています。医学部定員もこの2年間で約1500人増えました。厚労省は、歯科医並みの医師過多状況を作ろうとしているのでしょうか?確かにそこまでやれば、良くなるか悪くなるかは別にして、かなり状況は変わると思います。

訴訟、クレイム、雑用などに嫌気がさして勤務医が逃散してしまった状況を改善しないで、ドンドン医師数を増やすとどうなるか?歯科医師よりは医師のほうが仕事の選択肢が広いので予測は難しいですが、それでもへき地や産婦人科へ行く学生の数はたいして増えないように思います。

ところで、私は医学部の新設については反対ではありません。「医療崩壊」を解消する効果は少ないと考えているだけです。一定の基準を満たせばいつでも新設できるようにすべきだと思います。現状のように、医学部新設を選挙や政治家の都合で禁止したり解除したりするのは、かえって「医療崩壊」を助長するだけと考えます。

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