抗寄生虫薬「イベルメクチン」新型コロナに効果か 米で報告 大村智さん発見の細菌由来
以下は、記事の抜粋です。
抗寄生虫薬の「イベルメクチン」に新型コロナウイルス感染症の死亡率を下げる効果があるとする報告を、米国のチームがまとめた。イベルメクチンを使った患者の死亡率は、使わなかった患者と比べて約6分の1にまで抑えられたという。
イベルメクチンは、2015年にノーベル医学生理学賞を受賞した、大村智氏が発見した物質を基に作られている。寄生虫によって失明するオンコセルカ症や、皮膚が硬くなるリンパ系フィラリア症などに使われてきた。豪州のチームは、新型コロナウイルスを減少させる効果を細胞実験で確認したと報告。1回の投与で、1~2日以内に、ウイルスの増殖を抑制できたという。
米国のチームは20年1~3月に新型コロナウイルスに感染し、治療を受けた人のデータを収集。アジアと欧州、北米にある169医療機関からイベルメクチンを使った704例と、使わなかった704例とを比べ、統計分析した。
元論文のタイトルは、”Usefulness of Ivermectin in COVID-19 Illness”です(論文をみる)。以下は、そのタイトルと要約の和訳です。
COVID-19感染症におけるイベルメクチンの有用性
2020年4月19日
要約
重要性 : COVID-19による感染症を治療するための確立された抗ウイルス療法はない。
目的 : COVID-19の転帰における抗菌薬であるイベルメクチンの有用性を検討する。
デザイン : 2020年1月1日から2020年3月31日までの間にCOVID-19と診断された患者を対象に、追跡調査されたデータを用いた国際的な多施設観察的臨床試験。
設定 : 国際的な多施設共同医療アウトカムデータベース。
参加者 : SARS-CoV-2感染を確認する臨床検査所見が陽性であったことによりCOVID-19と診断された入院患者。
曝露 : イベルメクチン(150μg/kg)を1回投与したCOVID-19患者と、イベルメクチンを投与しない内科的治療を受けたCOVID-19患者を比較。
主要アウトカム : 主要アウトカムは、COVID-19患者におけるイベルメクチン投与と生存率との関連を評価することであった。
結果 : コホート(イベルメクチン投与群704例および対照群704例を含む)は、3大陸にまたがる169の病院からCOVID-19患者を集めた。患者は年齢、性別、人種または民族、併存疾患、および疾患重症度スコア(qSOFA)でマッチングされた。機械換気を必要とした患者のうち、イベルメクチン群で死亡した患者は少なく(7.3%対21.3%)、全体的な死亡率はイベルメクチン群の方が低かった(1.4%対8.5%;HR 0.20 CI 95% 0.11-0.37、p<0.0001)。
結論および関連性 : 入院患者における COVID-19 発病中のイベルメクチン投与は、死亡率および入院期間の低下と関連している。これらの知見は無作為化比較試験で確認する必要がある。
www.DeepL.com/Translator(無料版)で翻訳しました。
4月13日の記事で、新型コロナウイルスを減少させる効果を細胞実験で確認したという試験管内の実験結果を紹介しました(記事をみる)。
以前の記事では、細胞に投与されたイベルメクチンの濃度が高いので臨床応用に遠い可能性を指摘しましたが、今回の使用量は150μg/kgで、日本でも認められている疥癬への投与量200μg/kgよりも低く、副作用も問題ないと思われます。本格的な臨床試験の結果が待たれます。
以前の記事でも書きましたが、ウイルスに対する作用機序は細胞核への輸送を担うインポルチン(IMP)の阻害で、駆虫薬としての作用機序である無脊椎動物の神経・筋細胞に存在するグルタミン酸作動性Cl–チャンネルの阻害とは異なるようです。
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