寄生虫感染症の治療薬「イベルメクチン」が、新型コロナウイルスの抑制に効果(試験管内での話)

30学「イベルメクチンに効果」
以下は、記事の抜粋です。


オーストラリアの大学が4月4日、アタマジラミ症などの寄生虫感染症の治療薬「イベルメクチン」が、新型コロナウイルスの抑制に効果があったと発表しました。

これは、オーストラリアのモナッシュ大学の研究チームが発表したもので、アタマジラミ症などに使われる抗寄生虫治療薬の「イベルメクチン」が、実験の結果、新型コロナウイルスの抑制に効果があったとしています。

「1回量のイベルメクチンで新型コロナウイルスの複製を48時間以内に止めることができました」(モナッシュ大学 カイリー・ワーグスタフ博士)

「イベルメクチン」は、2015年にノーベル賞を受賞した大村智北里大教授が発見した放線菌から開発され、年間3億人の治療に使われる寄生虫による感染症治療薬で、オーストラリアなどですでに30年以上、使われています。モナッシュ大学では、今後、「イベルメクチン」の臨床試験を行い、できるだけ早期に新型コロナウイルスの治療薬として応用したいとしています。


元論文のタイトルは、”The FDA-approved Drug Ivermectin inhibits the replication of SARS-CoV-2 in vitro”です(論文をみる)。

イベルメクチンの抗寄生虫薬としてのメカニズムは、無脊椎動物の神経・筋細胞に存在するグルタミン酸作動性Clチャネルに特異的かつ高い親和性を持ち結合し、Clに対する細胞膜の透過性を上昇させることによります。 これにより、Clが細胞内に流入するため神経細胞や筋細胞の過分極が生じ、寄生虫が麻痺を起こし死滅します。

一方、この論文に書かれているメカニズムはインポルチン(IMP)の機能を阻害して、ウイルスが細胞核の中へ入るのを阻害することによると書かれています。そのため、コロナのようなRNAウイルスだけでなくDNAウイルスにも効果があると書かれています。問題は、この効果はまだ試験管内(in vitro)だけで確認されていて、しかもその効果が出るために必要な濃度は、寄生虫薬として働く濃度よりもかなり高いことです。

試験管内では効果があっても生体、特にヒトに効果がありかつ副作用が出にくいのでなければ臨床で使うことは難しいです。既存薬といっても、イベルメクチンは駆虫薬として用いる用量では副作用は少ないとされていますが、抗ウイルス作用が出るほど多量に使えば副作用が出る可能性があります。まだまだ道は遠い感じですが期待しています。

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