イヌが乳児を喘息やアレルギーから守る？

イヌが乳児を喘息やアレルギーから守る？
以下は、記事の抜粋です。

イヌを飼う家庭で育った乳幼児は喘息やアレルギーを発症しにくい。関連する論文がPNASオンライン版に12月16日掲載された。

UCSFとミシガン大学の研究グループのマウスを使った研究で、イヌを飼っている家から出たハウスダストに曝露すると、腸に生息する微生物群に変化が生じ、よくみられるアレルゲンに対する免疫系の反応が減少することが判明した。さらに、呼吸器感染症の原因となるアレルゲンやウイルスから気道を保護するうえで不可欠な特定の腸内細菌種を突き止めた。

この知見はマウスで認められたものだが、研究グループは、これにより出生時からイヌがいる家庭で育った小児がアレルギーや喘息を発症しにくい理由を説明できる可能性が高いとしている。また今回の結果は、腸内の微生物叢）の変化が体内の他の場所での免疫機能に影響を及ぼすことを示唆するものでもある。

著者の1人であるUCSF准教授のSusan Lynch氏によると、有益腸内細菌種を用いることでヒトの腸内微生物叢を再構築し、アレルギーや喘息の発症を予防し、さらにはすでに発症した症例を治療できる可能性があるという。

元論文のタイトルは、”House dust exposure mediates gut microbiome Lactobacillus enrichment and airway immune defense against allergens and virus infection”です（論文をみる）。

私の知る限りでは、ネコを飼うとネコひっかき病やトキソプラズマなどのリスクが増えるだけで、精神的癒し以外のベネフィットはほとんどありません。イヌの場合も、人畜共通感染症として有名なメチャクチャ怖い狂犬病など、デメリットばかりだと思っていました。しかし、この論文のおかげでイヌについては考えが少し変わりました。1例ですが、私もイヌのいる家で育ち、喘息やアレルギーは発症していません。

ただし、記事にもあるように、今回の研究では因果関係は明らかにされていませんし、動物を用いた研究の結果は必ずしもヒトで再現できるとは限りませんので、急いでイヌを飼わなくても良いですが、飼いたいヒトにはgood newsだと思います。