7月6日時点での西浦博氏のオリンピックについての考え方

国際的なサッカー選手権で見えた答え合わせ 専門家が命を守るために提示する3つの選択肢
緊急事態宣言の中、オリンピック開催は規定事項のようですが、あの「8割オジサン」は「中止すべき」として、怖い予測を立てられています。以下は、オリンピックについての部分の抜粋です。


東京五輪は今からでも中止を
政治的に見ると、皆さん「もう中止はない」という言い方をするのですが、やはりリスクを見る立場からすると、中止することが最もリスクの低い選択肢であることを主張しないわけにはいきません。

今でさえ、政治から「今のこの状況でどうして五輪を開催するのか」という説明がないわけです。それがない限りは、「どうして遅らせることができないのか。あと少し待つだけで予防接種も行き渡るのに」という疑問は、絶対に払拭されないと思います。

中止をしないのは違約金の問題などお金がからむ問題があるし、たくさんのアスリートが絡んでいる問題もある。またこのまま進んで「冬の北京五輪が成功したのに日本はできなかった」という話になると、政権の人気に陰りが出るという懸念もある。おそらくそれは事実なのでしょう。しかし、僕から言わせると、北京五輪の開催も相当厳しいと思っています。

このウイルスは冬季に伝播しやすい。冬季に人口密度の高いところで開催し、予防接種も中国の場合はシノバックやシノファームなどの不活化ワクチンです。不活化ワクチンでそもそも有効性が限られている中、さらに変異ウイルスに対する有効性も保証されていません。そうしたことから、北京五輪も開催は結構厳しいと思います。

現状を見て、僕が想定する最悪のシナリオはこうです。
日本は科学を半ば無視してオリンピックを強行しようとしているので、流行状況が悪くなって止められないまま、感染拡大してしまう。それを見て、中国は科学的に判断して2年延期して大成功を収めるーー。このシナリオは日本の科学の終焉さえ暗示しています。さすがにこのシナリオは避けたい。政治家に腹を切ってもらうだけでは済まない悪いシナリオです。

先日、この春、医療崩壊した大阪の流行について話しましたが、もっと詳細な死亡リスクに関する分析も今後、報告されていくと思います。

他の研究者の中には新型コロナウイルス感染症に起因する直接死亡だけでなく間接死亡を検討しているグループもあります。第4波の流行で間接死亡が出ないはずがない。他の疾患で医療を受けたかった方が十分な医療を受けられずに死亡する傾向があったはずです。

その大阪の状況に近いことに、東京がなり得ます。その方向に流行が進んでいます。リスクを分析する者として、率直に今の状況は危ないと思います。五輪をその状況下で開催し、それが影響して対策も十分に判断できない。それは本当に危ない。

その懸念に対して、今、政府が小出しにしている観客の対策も玉虫色すぎます。きっちり無観客ではなく、会場が一定程度大きいところのみで無観客とか、関係者は入れますとか、いろんなところで骨を抜かれた内容になっています。

リスクを分析する者としては、今のリスク認識のまま五輪に突っ込むことに対しては率直に危ないと主張せざるを得ない。また、少なくともなぜ突っ込むのか政府から説明がないと、要請ベースの政策は破綻します。説明しないなら説明しないで、政策が破綻した時の準備ぐらいはしておいてもらいたいと思います。

「命を守るためにタブーなき議論を」と訴える西浦博さん


良く当たる彼の予想が外れることを願います。私も北京オリンピック特に冬季が危ないという意見には賛成です。おそらく、今の中国はインドで見つかったデルタ株に免疫はほとんどないと思います。

コメント

タイトルとURLをコピーしました