国内の新型感染者が3千人超す―7月15日
新型インフル、国内感染者2000人超に―7月8日
国内の新型インフル感染1000人超す 10代が過半数―6月25日
以下は、7月15日の記事からの抜粋です。
国内で初の感染が確認されたのは5月16日。大阪府と兵庫県で学生を中心とした集団感染が起こり、23日までの最初の一週間で316人の感染が確認されたが、6月上旬は連日1ケタの増加にとどまった。しかし、6月中旬ごろから一日20人前後の感染が新たに確認されるようになった。その後、一日の感染者数は6月下旬が50人前後、7月上旬が100人以上、この2日間は200人以上と増え続けている。
累計の感染者数を見ても、1000人に達したのが6月26日で、以後1500人になるまでが7日間、2000人が6日間、2500人が4日間、3000人が2日間で、増加のペースは上がっている。
厚生労働省健康局結核感染症課の江浪武志課長補佐は15日の記者会見で、「心配な現象ではあるが、著しく患者が増えているという状況ではない」と指摘。
江浪さんは、どのような根拠で、「心配な現象ではあるが、著しく患者が増えているという状況ではない」と言っているのかわかりませんが、真夏あるいは梅雨という季節を考えると、新型インフルの感染力はかなり強いと思われます。
記事には、都道府県別のデータがついています(下の表)。興味深いのは、神戸市のある兵庫県が神奈川県や愛知県に抜かれて、4位に後退していることです。
神戸市では、まん延化宣言の後は、インフルエンザ症状があっても、軽症の場合は自宅での静養を原則としています。医療現場での緊張感は消え、PCR検査を行うケースが極端に減少しています。新型インフルの発生を把握できる状況ではなく、数字が延びないのは当然です。つまり、表に示された兵庫県の患者数は、実態を全く反映していません。
厚労省は、7月末までに感染者の全数把握を廃止し、集団発生の場合にのみ届け出を要する「クラスターサーベイランス」に移行する方針です。東京都も7月10日で発熱外来を廃止しました。おそらく7月中には、日本中の発熱外来が廃止されるでしょう。その結果、8月からは、日本全体が神戸市のようになり、新型インフルの患者数が把握できなくなります。
全数把握をやめる場合、日本での感染状態を把握するためには、これまでの確定感染者数のかわりに、米国のように、推定感染者数を計算することが必要になりますが、発熱外来をすべて廃止し、「クラスターサーベイランス」に移行すれば、それもできなくなります。
発生当初、「検疫」や「水際作戦」をものものしく行ったのに、たった2ヶ月で、感染者数把握をあきらめるとは、本当に不思議な国です(統計をみる)。
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