マウスの皮膚細胞から神経細胞を直接作製、iPS細胞使わず 米スタンフォード大
以下は、記事の抜粋です。
マウスの皮膚の細胞から直接、神経細胞を作り出すことに、米スタンフォード大の研究チームが成功した。再生医療などに新たな道が開ける可能性がある。27日付の英科学誌Natureで発表された。
これまでの研究では、体細胞からほかの体細胞に変わりうるのは、万能細胞の「iPS細胞」のみだと考えられてきた。しかし今回の研究ではマウスの尾から採取した細胞に、神経細胞の分化に関わる遺伝子3種類をレンチウイルスを使って導入し、万能細胞を作製する段階を経ずに直接、神経細胞を作製した。
これら3種類の遺伝子をマウスの皮膚細胞に導入すると、1週間以内に変化が始まり、32日間にわたって観察する間に神経細胞になり、神経タンパク質を発現するようになった。成功率も高く、従来のiPS細胞を使う技術に比べ、最高10倍の20%の確率で作製できるという。
元論文のタイトルは、”Direct conversion of fibroblasts to functional neurons by defined factors”です(論文の要旨をみる)。
研究グループは、iPS細胞の場合などをヒントに、転写因子に絞って候補遺伝子をスクリーニングしたようです。3種類の遺伝子とは、Ascl1、Brn2 (Pou3f2ともよばれる)、Myt1lの3つです。
皮膚の繊維芽細胞(fibrobalsts)が、未分化の細胞(iPS)を経由せずに、直接神経細胞になるのはすごいと思います。また、iPS細胞のようにクローン個体ができるわけでもないので倫理的な問題も少ないでしょう。
しかし、Ascl1は小細胞性肺癌において選択的に高発現していることがよく知られているので、がん化の心配はやはり残りそうです。
今後は、肝臓や膵臓β細胞など組織特異的な転写因子を繊維芽細胞に入れて直接分化させる実験が流行るかもしれません。
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