アルツハイマー病、原因は真菌感染?患者の脳に痕跡

アルツハイマー病、原因は真菌感染?患者の脳に痕跡
以下は、記事の抜粋です。


アルツハイマー病の患者の脳に、真菌の痕跡を発見したとする研究結果が10月15日、発表された。これにより、アルツハイマー病の原因は伝染性病原菌なのか、という疑問が再び浮上した。

研究を行ったスペインのチームは、まだ決定的な証拠は得られていなものの、この問いの答えが「イエス」であることが判明すれば、アルツハイマー病は抗真菌療法による治療の対象となる可能性があると指摘している。

研究チームは、分析対象としたアルツハイマー病患者11人の遺体の全てで、脳組織と脳血管に「数種類の真菌種」の細胞や関連物質を発見した。これらは、アルツハイマー病にかかっていない対照群にはみられなかった。

アルツハイマー病の「主病因」はこれまで、粘着性タンパク質の蓄積によって形成される脳の「アミロイド斑(プラーク)」とされてきたが、プラークを標的とする薬剤の試験は、期待はずれの結果に終わっている。今回の研究結果は、アルツハイマー病の考えられる原因のリストに、新たな仮説を追加するものだ。

数種類の真菌の痕跡が発見されたことで「アルツハイマー病の臨床症状の進行と重症度が患者によって異なることを説明できるかもしれない」と研究チームは述べている。また真菌は、病気の進行がゆっくりであることや炎症反応がみられることなどの、アルツハイマー病の特徴とぴたりと符合すると研究チームは補足した。

一方で研究チームは、真菌感染症がアルツハイマー病の原因ではなく、アルツハイマー病によって免疫力が低下したり、食生活や衛生環境が変化したりした結果である可能性も認めている。


元論文のタイトルは、”Different Brain Regions are Infected with Fungi in Alzheimer’s Disease”です(論文をみる)。

11人の患者で真菌に対する抗体を使って、脳のどこに感染しているかを調べただけの論文ですが、11対0という明白な結果が査読は比較的甘いもののNature系の高評価雑誌に掲載されているので、無視はできないと思います。

本当にアルツハイマー病の原因が真菌感染なら、診断も治療も大きく変わると思います。記事には、「有効性が極めて高い上にほとんど毒性のない抗真菌薬が、現時点で多数存在する。」と書かれていますが、私は現存する抗真菌薬がそのまま使えるとは思いません。中枢神経系への移行が高く、高齢者にも使える副作用の少ない薬を開発する必要があると思います。

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