本当にコレステロールはいくら摂っても問題ないのか?

いくら摂っても問題ない? コレステロールのホントとウソ
以下は、記事の抜粋です。


最新の研究で、このコレステロールに関して驚くべき事実が分かったのです。その事実とは、コレステロールをいくら食事から摂取したところで、体内のコレステロール値はほとんど変わらないということです。日本では2015年の4月時点の厚生労働省発表の「食事摂取基準」改訂に伴って、2010年版までには設けていたコレステロール値の摂取基準を撤廃、5月には日本動脈硬化学会もコレステロール値が食事によって大きく変動することはないという旨の声明を発表しています。

アメリカでは、既に2013年時点でコレステロールの摂取量を制限してもコレステロール値が低下する科学的根拠がないとして、摂取制限を撤廃する考えを示していました。卵やイカ、イクラなどは「食べても食べなくてもコレステロール値はあんまり変わらない」がホントだったのです。


一方、以下のような記事もあります。

コレステロール治療に「2種類を一緒」が効果、エゼチミブを加えると効果的
以下は、記事の抜粋です。


LDLコレステロールの治療としては、よくスタチンという薬が使われている。 ここにエゼチミブ(ゼチーア®)を加えると、病気を防ぐ効果を高められるようだ。

ハーバード大学医学部のクリストファー・P・キャノン氏らの研究グループは、スタチンについて、LDLコレステロールや心臓や血管の病気リスクを下げる効果があると説明。その上で、異なるタイプの薬であるエゼチミブを加えると、さらに病気を防ぐ効果を高められるかを調べている。

10日以内に「急性冠症候群」で入院歴がある1万8144人をランダムに2つのグループに分けて、一方のグループに対してはシンバスタチンとエゼチミブ、もう一方のグループに対してはシムバスタチンとプラセボの組み合わせを使用。既に脂質低下療法を受けていた場合は、LDLコレステロール値が50 mg/dLから100mg/dLの人、受けていなかった場合には50 mg/dLから125mg/dLの人を対象として、平均して6年間追跡調査をしている。

エゼチミブを使った場合は平均すると53.7mg/dLになったのに対して、エゼチミブを使っていない場合は平均すると69.5mg/dLとなっていた。心臓や血管の病気による問題の発生は、エゼチミブを使ったグループで32.7%、使わないグループで34.7%となり、統計学的に意味のある差があると判定できた。その差は2%分の低下となる。

筋肉、胆のう、肝臓の副作用については2つのグループで同じ程度となっていた。LDLコレステロール値をより大きく下げて、病気の発生予防にもつながるという結果。


上の元記事にも書かれているように、コレステロールの7割から8割は、肝臓などで脂質や糖質を分解した物質から合成され、残りの2割から3割を小腸で食品から吸収するとされています。

スタチンは肝臓でのコレステロールの合成を阻害することが作用機序うだとされています。また、エゼチミブは、消化管上皮細胞及び肝細胞に発現しておりコレステロール吸収の要である小腸コレステロール輸送体(NPC1L1)を阻害する、つまり小腸での吸収を阻害するのが主な作用機序だとされています。

スタチンでコレステロールの合成がかなり阻害されている場合は、エゼチミブの吸収阻害効果が強くなるだけのことかもしれませんが、今のところ学会の意見は、心血管のリスクが高い患者の場合、血中LDLコレステロール値は下げれば下げるほど良いということのようなので、「コレステロールはいくら摂っても大丈夫」というのは、まだまだ怪しいと思います。

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