アルツハイマー病患者は人の感情をまねる
以下は、記事の抜粋です。
アルツハイマー病患者や、初期の思考障害、記憶障害のある人には、周囲の人の感情を模倣する傾向がみられることが新たな研究で示された。研究結果はPNASオンライン版に5月27日掲載された。
このような感情の移行は情動感染(emotional contagion)と呼ばれ、人が他人の感情を共有、経験する感情移入の原始的な形であると、研究を率いたUCSF神経内科のVirginia Sturm氏は述べている。早期のアルツハイマー病や軽度認知障害のある人には情動感染の増加がみられ、認知症がある場合はさらに顕著だという。
Sturm氏によると、アルツハイマー病や認知症では、他者の感情への感受性が高まり、一部の患者では記憶力や思考力の低下に伴い、それが強まるようだという。つまり、介護者が不安や怒りを感じていたり、逆に落ち着いた楽しい気分でいたりすると、患者はその感情を模倣するという。
今回の研究では、成人237人を対象にした。62人に軽度認知障害、64人にアルツハイマー病があり、その他の被験者には精神障害はなかった。うつ病やその他の精神健康問題を特定する検査のほか、情動感染に関連する脳の変化を特定するためMRIスキャンを実施した。その結果、軽度の精神障害およびアルツハイマー病者は、そうでない人に比べて情動感染が強いことが判明。この変化は脳の右側頭葉の損傷の増大に平行して認められた。
元論文のタイトルは、”Heightened emotional contagion in mild cognitive impairment and Alzheimer’s disease is associated with temporal lobe degeneration”です(論文をみる)。
情動感染という感情の移行が認知障害で増加するという結論ですが、私も最近周辺のヒトの気分で自分の気分が左右されることを強く感じています。友人や同僚に「仕事がおもしろくない」とか、「体調が悪い」とか言われると、自分も落ち込みがちになります。認知障害が始まったのでしょう。
逆に、周辺のヒトを幸福にするためには、自分が幸福に感じて生きる、あるいはそのように見せることが大切なのかもしれません。
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