アスピリンが免疫チェックポイント阻害剤の抗腫瘍効果を増強する

がん治療に鎮痛薬の「アスピリン」脚光、免疫療法のパワーを劇的に高める可能性
以下は、記事の抜粋です。


ごく一般的に使われている鎮痛薬である「アスピリン」をがんの免疫療法の薬と一緒に使ったところ、免疫療法の効果を劇的に高められる可能性があると分かった。英国フランシス・クリック研究所の研究グループが、2015年9月3日に報告したもの。

研究グループはがん細胞が作る「プロスタグランジンE2(PGE2)」という物質が、がんを攻撃しようとする「免疫」にとって「ブレーキ」になってしまうことを発見した。

ここで注目したのが、鎮痛薬であるアスピリン。アスピリンは、免疫を邪魔するプロスタグランジンE2を作り出す仕組みを邪魔する。がん細胞に置き換えて考えると、がんへの攻撃力にとってのブレーキを取り除くことになる。

アスピリンは、プロスタグランジンE2を作る「シクロ-オキシゲナーゼ1および2(COX-1とCOX-2)」の働きを抑えている。研究グループは、動物実験によって、アスピリンと免疫療法の薬を一緒に使うと、がんの増殖を抑えられると確認した。アスピリンだけでは何の効果もなかった。

アスピリンと免疫療法の薬を併用して投与した場合には、免疫療法の薬単独の場合よりもはるかに速やかに腫瘍が消失した。さらに驚くべきことに、がんへの抵抗力が生まれて、強力な免疫の記憶が発達してきたところ。数カ月にわたって、同じタイプのがん細胞を認識し、直ちに破壊できるようになった。

アスピリンは血液を固まりにくくする薬。脳卒中や内出血などの副作用も起こり得る。アスピリンの服用を考える場合には、まずは医者に相談すべき。


元論文のタイトルは、”Cyclooxygenase-Dependent Tumor Growth through Evasion of Immunity”です(論文をみる)。

“Cell”誌に載っているから大丈夫だと思いますが、この話が本当だったら、がん治療を一変させる大発見だと思います。

アスピリンが抗PD-1抗体だけではなく抗CTLA4抗体の抗腫瘍効果も増強するのか?とかいろいろ知りたいことはありますが、とりあえず、ヒトでの臨床試験でも同様の増強効果を発揮するかどうか、に注目したいと思います。

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