アメリカで処方されている医薬品ランキング
以下は、記事の抜粋です。
最も処方されている薬、アトルバスタチン(ブランド名「リピトール」で販売)は、2019年のアメリカでは人口の7.5%にあたる2450万人に処方されていました。心血管疾患の予防や脂質異常症の治療に用いられるスタチン系薬剤が数多く挙げられている中の一つでした。
実際、米国で最も処方されている薬の大半は、高血圧やその症状の治療に使用されています。それは、米国の成人の約半数にあたる1億800万人が高血圧症であるためです。
一般的な処方薬としては、細菌感染症の治療に用いられるアモキシシリンやアジスロマイシンなどの抗生物質や、甲状腺ホルモン欠乏症の治療薬として1,970万人に使用されているレボチロキシン(日本ではチラージン®)などがあります。
喘息治療薬のアルブテロール(吸入)は、患者数でのトップ5に入り、2型糖尿病治療薬のメトホルミンがそれに続きます。
循環器関連の投薬が多いことは、薬の種類ごとに患者数を集計すると明らかになります。血圧やコレステロールの薬を処方されている患者数の合計は、米人口の33%に相当します。それに比べて、痛みや炎症を抑える薬は、トップ30の中では5回と最も多くなっていますが、13.6%の人にしか処方されていません。その中には、オピオイド系の薬であるヒドロコドンやトラマドールも含まれています。
特定疾患に処方される薬のトップ30のほとんどは、米人口の6%未満の患者を対象としています。その中には、甲状腺疾患、胃腸疾患、抗うつ剤で治療する精神疾患(パニック障害、不安障害、PTSDなど)が含まれています。
処方された薬の患者数の多さは、その薬の重要性やエンドユーザーにとっての高価さを必ずしも反映しているわけではありません。レボチロキシン(日本ではチラージン®)は、総患者数では4番目に多い処方薬ですが、総処方数では2番目に多い処方薬で、2019年には1億260万件、1件あたりの平均コストは25.10ドルです。
フルチカゾンのようなより専門性の高い薬は、総処方数が2,790万件と大幅に少ないが、処方1件あたりの平均コストは97.68ドルとなっている。
薬価は、薬の需要、特許権の有無、ジェネリック医薬品の有無、そして国の医療制度に影響されます。OECD加盟国の中では、米国はほぼ全ての項目で最もコストが高い国となっています。
今回のランキングはCOVID導入前の米国を対象としています。
降圧薬で日本と大きく違うのは、リシノプリルというACE阻害薬がARBはもちろんアムロジピンも抑えて一番多く処方されているところです。考えさせられる違いです。
あとは、甲状腺機能低下症に対する薬であるレボチロキシン(日本ではチラージン®)の使用が非常に多いことには驚きました。橋本病(慢性甲状腺炎)は非常に頻度の高い病気で、成人女性の10人に1人、成人男性の40人に1人にみられます。ただし、橋本病だからといって、全員の甲状腺ホルモンが少なくなるわけではなく、橋本病のうち甲状腺機能低下症になるのは4~5人に1人未満です(記事をみる)。確かに頻度の高い病気ですが、日本でもこんなに使われているのでしょうか?
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