著者が企業と提携していたり企業から資金提供を受けている論文は、企業に都合の良い結果を載せがち

遺伝子組み換え作物関連論文の40%に利益相反、仏研究

以下は、記事の抜粋です。


遺伝子組み換え作物(GMO)に関する公刊論文の利益相反(conflict of interest、COI)についての研究結果が12月15日、フランスの研究チームによって発表された。

研究の対象となったのはBacillus thuringiensisという細菌が作る毒素に耐性を持つよう遺伝子組み換えを行った作物の有用性と永続性に関する論文579本。 今回の研究では、少なくとも1人の著者がバイオテクノロジー企業等と提携していることや、そうした企業から資金や報酬を受け取っていることを宣言している論文を利益相反があるとして定義した。

結果、利益相反があると考えられる論文は全体の40%を占め、研究者と遺伝子組み換え作物関連企業の結びつきはありふれたものであることが分かったとしている。 579本のうち米国の論文は404本、中国の論文は83本だった。

最も重要な点は、利益相反の存在と遺伝子組み換え作物企業に都合の良い結論を出した研究の間に統計的に関連があることが示された点だという。 遺伝子組み換え作物企業に都合の良い結論を出していた論文の割合は、利益相反がない論文(350本)では36%だったが、利益相反がある論文(229本)では54%だった。


元論文のタイトルは、”Conflicts of Interest in GM Bt Crop Efficacy and Durability Studies”です(論文をみる)。

Bacillus thuringiensisという細菌が作る毒素(Bt毒素)は、昆虫に選択的な毒性殺虫性タンパク質です。Bt毒素を生産する遺伝子を植物に組み込んで、特定の農産害虫に抵抗力のある作物(遺伝子組換え作物)を作出するために広く用いられています。ということで、この記事の「細菌が作る毒素に耐性を持つよう遺伝子組み換えを行った作物」という部分は誤っています。

いずれにしても、研究者が企業に所属していたり、研究が企業からの資金で行われていた場合、かなりの割合で企業に都合の悪い結果は発表されないことがあり、もっとひどい場合は、ねつ造された都合の良い結果が発表されることがあるのでしょう。

関連記事に書いたように、日本で「トクホ」と認められている食品に関連する論文のほとんどは、企業の研究者が著者で入っています。おそらく、上の記事で書かれいる植物の遺伝子組換え関連の論文よりも、はるかに利益相反率は高いと思います。

政府は、こんなトクホでも売れることで日本の経済を活性化すると考えているのかもしれませんが、少なくとも日本の科学はかえって堕落すると思います。最近、ようやく水素水がタダの水であることを公的機関(消費者庁が所轄する独立行政法人)がアナウンスしたようですが、野放しにする時間が長すぎました。伊藤園の「香り薫るむぎ茶」好きなのに、、、裏切られた気分です。

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