メトホルミンでコントロール不良の2型糖尿病、セカンドラインとしてDPP-4阻害薬はSU剤に非劣性

2-year efficacy and safety of linagliptin compared with glimepiride in patients with type 2 diabetes inadequately controlled on metformin: a randomised, double-blind, non-inferiority trial

以下は、論文要約の抜粋です。


背景:2型糖尿病において、メトホルミンにスルホニル尿素(SU)薬を追加すると血糖コントロールは改善されるが、低血糖や体重増加のリスクが増加する。我々は、DPP-4阻害薬リナグリプチン(linagliptin、トラゼンタ®、ベーリンガー)を一般によく使用されているSU薬グリメピリド(glimepiride、アマリール®、サノフィ・アベンティス)と比較した。

方法:メトホルミンでコントロール不良(HbA1c:6.5—10.0%)の2型糖尿病患者1519人を対象に、メトホルミンに追加する薬物として、グリメピリド(1—4 mg)に対するリナグリプチン(5 mg)の非劣性を無作為化二重盲検試験で2年間検証した。主要エンドポイントは、試験開始から第104週までのHbA1c値の変化とした。

結果:ベースライン(7.69%)からのHbA1c値の調整後平均低下率はリナグリプチン群0.16%、グリメピリド群0.36%で、差は0.2%であり、非劣性基準の0.35%を満たした。低血糖による有害事象はリナグリプチンで有意に少なかった。


試験開始時の平均体重はリナグリプチン群とグリメピリド群でそれぞれ86kgと87kgでした。終了時にはリナグリプチン群では1.4kg体重が減少したのに対して、グリメピリド群では1.3kg増加したそうです。さらに、脳梗塞や心筋梗塞などの心血管イベントもリナグリプチン群で少ないと報告されています。

関連記事に書いたように、メトホルミンは最も優れたファーストライン経口2型糖尿病治療薬であると考えられています。しかし、メトホルミン単独では血糖コントロール困難な場合もあります。その理由の多くは、インスリンの分泌不全です。これを改善するためのセカンドライン薬物として何が最も適当かについては結論が出ていませんが、最も良く使われているのはグリメピリド(アマリール®)などのSU薬です。

しかし、SU薬には生命を脅かす低血糖リスクがあり、患者の嫌う体重増加作用もあります。本研究は、SU薬の代りにDPP-4阻害薬をセカンドライン薬物として用いるための臨床試験です。結果をみた限りでは、リナグリプチンはグリメピリドに非劣性であり、安全性も高いのでセカンドラインとして重要な選択肢の1つだと思います。

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