「ドライ・ジャニュアリー」と「ソバー・オクトーバー」

1カ月の断酒が肝臓を救う 世界で広がる「ドライ・ジャニュアリー」…「あえて酒を飲まない」で、心身ともに健やかに過ごす
以下は、記事の抜粋です。


世界中で毎年何百万人もの人たちが、1カ月間アルコールを飲まずに過ごすことを選択している――「ドライ・ジャニュアリー」として始まったこの習慣は、今では「ソバー(しらふの)・オクトーバー」のような同様の取り組みへと拡大している。自身の飲酒習慣に関心を持ち、あえて飲まない「ソバーキュリアス」というライフスタイルを選ぶ人の数は、着々と増えつつある。

英国では、成人の7人に1人が2023年のドライ・ジャニュアリーに参加する計画を立てていた。しかし実際のところ、1カ月間アルコールを断つことによってどのような効果が得られるのだろうか。そもそも1カ月という期間で効果を実感できるのだろうか。

アルコールが体に及ぼす影響
アルコールはさまざまな形でわれわれの体に影響を及ぼす。最も顕著に現れるのはアルコール分解の機能を担う肝臓だが、心臓や消化管、膵臓、脳といったほかの臓器に二次的な害が及ぶこともある。どんな影響が起こるかは、アルコールが体内にとどまる時間と摂取量による。

肝臓は、アルコールを毒性の少ない形に分解し、体外に排出する。この過程において、アルコールはまずアセトアルデヒドという、非常に毒性の高い発がん性物質に分解される。アセトアルデヒドは通常は迅速に分解されるが、このプロセスが、血中アルコール濃度が高かったり肝臓の代謝を阻害する薬物を摂取していたりなどの要因によって遅れたり中断されたりすると、全身に蓄積されて臓器の損傷を引き起こす可能性がある。

この損傷は全身に影響を及ぼし、高血圧や心臓病、肝臓病、特定のがんの発症リスクの増加など、慢性的なアルコール摂取による長期的な健康リスクへとつながる。免疫系を弱らせ、脳の正常な機能を損なう恐れもある。

アルコールを断つ利点
アルコールを断ってから数週間以内に変化は始まる。アルコール性肝疾患は4段階あり、まず脂肪の蓄積から始まり、慢性的な炎症に進み、瘢痕形成となり、最終的には肝硬変に至る。この最終段階を除けば、肝臓の治癒が見込める。肝硬変の患者にとっても、アルコールを断つことで、病気の進行を食い止め、生存期間を延ばせる。

断酒は、肝臓だけでなく、ほかにもさまざまな健康上の利点がある。その理由も、体内のアルコールおよびアセトアルデヒドが減るためと考えられている。

中程度から重度の飲酒習慣がある94人が1カ月間の断酒をした、2018年に発表された英国の研究では、断酒しなかった人と比べて、インスリン抵抗性や血圧、体重に改善が見られた。

アルコールを断つ利点としては、睡眠の改善、抑うつや不安の減少を含む気分の改善、さらには肌や腸の改善などもある。

自分を見つめ直す機会
習慣的な飲酒が実のところ、睡眠障害や気分障害を自分で改善する試みであるという可能性もある。1カ月間アルコールを断つことにより、人はアルコールが健康問題を引き起こしているのか、それとも隠しているのかを見極める機会を得られる。

アルコールを断つことは、自分の飲酒量が制御できる範囲を超えているのかどうかということを含めて、人々が自身とアルコールとの関係をよりよく理解する助けにもなるという。依存症になっているかどうか、自分では気づきにくいこともあります。

飲酒習慣を変える意義
アルコールを1カ月間断つという試みに関する主な懸念のひとつは、飲酒を再開した際に以前よりも量が極端に増えてしまわないか、ということだ。しかし、先に紹介した94人が1カ月にわたってアルコールを断った研究において半年後に調査したところ、対象者の飲酒量は以前よりも大幅に減少し、平均的な飲酒パターンは、問題のある飲酒習慣カテゴリーの「低リスク」に位置づけられたという。ドライ・ジャニュアリーに参加した英国の成人857人を対象とした別の調査でも、1カ月間アルコールを断った半年後に飲酒量が減少していることが報告されている。

研究で明らかになりつつあるように、アルコール摂取量を抑えることは健康面に大きなメリットをもたらす。「血中アルコール濃度が高いとさまざまな臓器に損傷を与えることを踏まえると、飲酒量を全体として減らすことは、長期的には健康増進につながる」と専門家は指摘している。


私を含めて多くの東洋人は、アセトアルデヒドを分解する酵素のアルデヒドデヒドロゲナーゼ(ALDH2)の活性が低く、アルコールによる発がんや心血管系へのリスクが普通のヒトよりも高いです。ということは、これまで下に引用した関連記事で何度も書いてきたように、アルコールは「百薬の長」ではなく、その習慣性も含めて「百毒の長」です。

高いALDH2活性を持った酒に強いヒトが、低い活性のヒトにすすめるのは、毒を盛っているようなものです。ALDH2活性が低いヒトは、命を削っていることを自覚してお酒を飲んでください。

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