食道がんリスクに対する喫煙と飲酒の相互作用はあるか?
食道がん発症の危険因子である喫煙と飲酒に相互作用があるかどうかを、日本人集団ベースの大規模コホート研究のプール解析で調べた、愛知県がんセンターからの論文です。以下は、その要旨の抜粋です。
対象は、8つのコホート研究における被験者である16万2,826人の男性。喫煙および飲酒状況については喫煙歴・飲酒歴の有無で分類し、喫煙量と飲酒量については1年のパック数と1日飲酒量で3グループに分類した。
結果
・計16万2,826人の男性のうち、954人に食道がんが発生した。
・喫煙、飲酒、およびこれらの組み合わせにおけるハザード比(HR)は、それぞれ2.92(1.59~5.36)、2.73(1.78~4.18)、8.86(4.82~16.30)であった。
・加法的スケールでは喫煙と飲酒の相互作用が有意に認められたが、乗法的スケールでは有意ではなかった。
・3つのレベルでの喫煙と飲酒の組み合わせによる結果から、同様の有意な超相加的相互作用が示された。
・喫煙、飲酒、およびこれらの組み合わせの人口寄与割合(Population Attributable Fraction)は、それぞれ55.4%、61.2%、81.4%であった。
タバコが身体に悪いのは常識です。「酒は百薬の長」とか言ってお酒を飲んでいる人がいますが、それは既に否定されています(記事をみる)。さらに、少ない酒量でも脳が萎縮することも報告されています(記事をみる)。
本論文で紹介されているのは、酒もタバコもという「両刀使い」の場合は、有害な威力が相乗的に増えるということです。逆に言えば、どちらかでもやめればリスクは急激に下がります。頑張ってやめましょう。
関連記事
「酒は百薬の長」と言われてきたが カナダ、豪州の研究で完全否定
アルコールを飲むと脳が萎縮する…意外に少ない酒量から危ない!!
コメント