メトホルミンに大腸がん予防効果…1日1錠(250mg)の低用量でポリープ・腺腫ともに抑制

メトホルミンに大腸がん予防効果
以下は、記事の抜粋です。


横浜市立大学の日暮氏らは、糖尿病などの治療に用いられているメトホルミンに注目し、大腸腫瘍の化学予防効果を検討するRCTを実施した。

臨床試験では、大腸ポリープの内視鏡切除歴がある患者151例を低用量メトホルミン群(250mg/日)79例とプラセボ群72例にランダムに割り付け,1年間投与した後に最終解析を行った(メトホルミン群71例,プラセボ群62例,計133例)。患者背景は平均年齢がそれぞれ63.1歳と63.5歳で,その他、性、大腸がんの家族歴、喫煙歴などに両群で差は認められなかった。

1年後のポリープ・腺腫の新規発生率を見ると、全ポリープの新規発生率はメトホルミン群38%、プラセボ群56%で、メトホルミン群で有意に低かった。腺腫の新規発生率はそれぞれ31%、52%で,同じくメトホルミン群で有意に低かった。


一般に、この記事のような学会発表だけの報告は信用性が低いのですが、この場合は医学雑誌(Lancet Oncol 2016; 17:475-483)にも発表されているので、信用できると思います。

メトホルミン(メトグルコ®)を糖尿病患者に投与する場合の開始用量は1日500mgで、1日最高投与量は2250mgですので、1日250㎎というのは「低用量」だと思います。
大腸がんの予防効果はアスピリンよりも少し弱い感じですが、出血や心血管リスクなどの副作用がないことや、安全と思われる低用量でも効果がある点が優れていると思います。AMPK/mTOR経路を活性化する可能性があると記事には書かれていますが、メカニズムには興味があります。

メトホルミンは安価で先発品のメトグルコ®でも250㎎1錠が9.9円、後発品だと9.6円です。しかも、最も優れた2型糖尿病治療薬であるとされ(記事をみる)、最近ではアンチエイジング効果もあると言われています(記事をみる)。アンチエイジング効果も狙って飲む非糖尿病患者が出て来そうな気がします。

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