高校野球の投手には「7回以下100球未満」を推奨
以下は、記事の抜粋です。
山形大学整形外科の宇野智洋氏らは、山形県の高校野球投手を対象に、登板時における投球数やイニング数、投球時の痛み、投球パフォーマンスなどについてアンケートを実施した結果から、1試合で8イニング以上または100球以上の投球数で投球時の痛みが強くなり、投球の困難度が高くなること、いずれも満たす場合は要注意であることを、第89回日本整形外科学会で指摘した。
この報告は、投球時の痛みだけを調べたもので、もの足りない研究ですが、これまでにも、投手の肩や肘の障害を防ぐために、高校生などの若い投手に対して投球間隔や投球数の制限を設けるべきだという研究報告は多くあります。例えば、「日本臨床スポーツ医学会」の整形外科部会は、2005年に「青少年の野球障害に対する提言」をしています(提言をみる)。以下は、その抜粋です。
● 野球肘の発生は11,12歳がピークである。従って,野球指導者はとくにこの年頃の選手の肘の痛みと動きの制限には注意を払うこと。野球肩の発生は15,16歳がピークであり,肩の痛みと投球フォームの変化に注意を払うこと。
● 野球肘,野球肩の発生頻度は,投手と捕手に圧倒的に高い。従って,各チームには,投手と捕手をそれぞれ2名以上育成しておくのが望ましい。
● 全力投球数は,小学生では1日50球以内,試合を含めて週200球をこえないこと。中学生では1日70球以内,週350球をこえないこと。高校生では1日100球以内,週 500 球をこえないこと。なお,1日2試合の登板は禁止すべきである。
● 野球における肘・肩の障害は,将来重度の後遺症を引き起こす可能性があるので,その防止のためには,指導者との密な連携のもとでの専門医による定期的検診が望ましい。
野球肘や野球肩というのは関節あるいはその周辺組織の傷害です。筋肉は鍛えれば強くなりますが、関節を鍛えることは不可能です。使えば使うほど筋肉は鍛えられ、コントロールも良くなる一方、関節や骨には障害が蓄積します。
アメリカでは、このような考えに基いて青少年には厳格な投球制限が行われています。日本でも10年以上前に上のような提言が出ていますが、無視されています。これはやはり、NHKや朝日や毎日などのマスメディアが「高校野球」という人気のある「児童虐待劇」で視聴率を稼いでいるからではないでしょうか?
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